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梓
2023-04-26 19:58:45
4288文字
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或る画家の秘密
蜜柑さん(@mikan02171)のツイートから
ある、魔法族の画家がいた。
ひとところに留まらない人だったが、それなりにパトロンや買い手には恵まれた、そんな画家がいた。
――ところで私はミュシャが好きです。
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形ばかりの婚儀を終えて一年を数える頃、送り主のわからない大きな包みが届いた。
形からして、絵だろうか。受け取った屋敷しもべ妖精が検分して、ほうとため息をこぼす。
「腕の良い画家ですな、いつぞやの小娘でしょうか。まるでオミニス様がこの絵の中でも生きているかのようでございます」
「あら
……
、この絵を描いた人は貴方に恋でもしていたのかしら?」
妻である女が絵を眺めて呟く。
さあ、実際どうなんだろうな。とりあえず、目が見えないと知っている癖に絵を送りつけてくる人だ、と心の内で悪態をついてみる。
「題もないのですね
……
、おや。『解釈はご自由に』だそうです」
全く、皮肉の効いた人だ。屋敷しもべ妖精が読み上げたメモに苦笑する。
もしかして、と思うほどなんでも見透かすような、それでいて言葉にはしない優しさのある人だった。
鮮やかに、当時を思い出す。
静かで、穏やかで、自分が自分であることを許された時間。名前も知らせず恋のひとつもさせてくれなかった気がするが、きっと彼女は会った時にはもう婚約の話を知っていたのではないかと今更思う。
見えない瞼の裏で、杖が教えてくれた彼女の顔を思い出す。いつものように、清濁全て飲み込んだような笑みを浮かべていた。
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