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梓
2023-04-26 19:58:45
4288文字
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或る画家の秘密
蜜柑さん(@mikan02171)のツイートから
ある、魔法族の画家がいた。
ひとところに留まらない人だったが、それなりにパトロンや買い手には恵まれた、そんな画家がいた。
――ところで私はミュシャが好きです。
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キャンバスと画材道具がやられた。それはもう、いっそ笑ってしまうほど全滅。少し買い物に出ただけなのに、随分と手早いお仕事だことで。まだ、ここのところ感じていた視線は残っている。警告、といったところか。
買い直すには高いんだけどな、と独りごちながら修復呪文をかけていく。直らないものも多そうだった。大方かけらの一部を焼いたのだろう。
(まあ、一度描いた絵なら魔法ですぐ描き直せるんだけどね)
大して独創も新奇もなく描き慣れたものであればものの数分でキャンバスが埋まるというのは、魔法族の画家たちに共有された秘密であった。大概の依頼主が、時間の掛かっていない絵をありがたがらないのもあったし、仕事の合間に小遣い稼ぎをしているなんてバレたら困るというのもあるし。
ところどころ焼かれたポートレートをしまう。
これはしばらく寝かせて、新婚も終わる頃に依頼主へお届けして差し上げることにした。ペンを取り、不注意で絵の納品が少々遅れる旨と今後はモデルを見なくても描けそうな旨とをしたためて、ゴーント家の奥方と依頼主とにふくろう便を飛ばす。
旅にでも出よう。"大事なもの"は無事だし、金払いはいい依頼主は一週間ほど前に約束の金額を払い込んでくれている。
全てしまい込んで、長く逗留していた下宿を去った。
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