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豆炭々炬燵
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訳アリ心霊マンション
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【サリ東】サリ東小説詰め合わせ×4
サリーさんと東雲さんのお話詰め合わせセット。ねつ造ご都合主義満載。
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代替品
大家さんと話す機会が増えるのに合わせ、込み上がる衝動のまま購入し吸った煙草は豪快に咽たまま残りの分が捨てられず部屋に置きっぱなしだった。
俺自身分からない。分からないが如何しても煙草なるものを吸いたい衝動があったのだ。結果、臭くて咽て不味い散々なものになり、それでも捨てるには勿体なくて一本少なくなった煙草がそのままの状態で部屋にある。
そんな事を大家さんに言えば彼女は懐かしむように口を開いた。
「そういや私も吸ってたなあ」
「じゃあ、あげまス」
「いやいやいや。吸って”た” 吸って”た”だから過去形。今はもう吸ってないんだって」
「ソウですか」
「ちなみに買った銘柄なに?」
「ナルボロ」
「お、私もそれ吸ってた」
「あげマす」
「だから吸ってないって言ってんだろ」
漫才よろしくツッコミをいれた大家さん。その後、二人でタイミングを合わせたように笑った。吸いかけの煙草は鬼形のおっちゃんに渡しとくっから、と大家さんが言うので彼女に吸いかけの煙草を預けた。これで問題ひとつ解決したが、まだ問題は残っている。
この口寂しいのを如何にかしなくてはならない。煙草を吸えれば無くなるはずだったそれは今も尚継続している。
「それなら飴とかガムがいいって聞いたことあんぜ。私はそこまでじゃなかったからどれくらい効果あんのか知らんけど」
飴とガム。そう教えてもらった日の内に早速試してみた。よくレジ前にタワーになって刺さっているロリポップを購入、舐めれば確かに口寂しいのが無くなった。要は何か含んでいたりすればいいのだろうか。数日かけ一通りある種類を舐め切った。どれもこれも美味しいが、舐め切ったからこそか複数纏め買いしてもその味だけは多めに買ってしまっていた。
バイト先での休憩時間、それ以外のオフな日にいつでも舐められるようポケットにロリポップを何本か忍ばせる。ふとした口寂しい時にいつでも舐められるように。
包装紙を剥がして甘い球体を頬張る。口からはみ出ている棒を持たず、舌の動きで上下に動かしていたらいつの間にか大家さんが傍に居ることが増えた。
初めに口寂しさが解消したお礼で一本渡し、その後も会う度に渡していたからだろう。大家さんは俺の姿を見かけるなりロリポップ目当てで近付くようになった。正直たかられている気持ちは十二分にあったが然程疎ましいとはならなかった。
「サリーさん、ちょーだい」
今回も笑顔で強請る大家さんから目を逸らさず、ジャケットのポケットに手を突っ込んだ。目当てのものはすぐ見つかるはずだったが、何度ポケットの中を弄っても何も出てこなかった。
「残念売り切レ」
大家さんは隠す気なぞ毛頭ないらしく残念がっている。貰う気満々むしろ当たり前に貰えるものだと思ってたのに「はい無いです」と言われたショックが大きいのだろう。これ見よがしに項垂れる彼女を見てふと閃いた。
ポケットに突っ込んでいた手で口からはみ出ていた棒を掴む。
「大家サん一本だけアった」
「! ほんとむぐっ」
半分くらい小さくなったロリポップを大家さんの開いた口に突っ込んだ。急に突っ込まれ鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた大家さんだったが、やおら口の中に広がる味が分かるなり「おっ」という顔つきになった。
「一番好きな味だー」
うまー。特に気にせず俺が舐めていたロリポップを舐める大家さんを見下ろす。
そして、ロリポップを貰い満足したのか彼女は手を振り去って行った。
「賑やかなヒト」
ふー、と鼻で溜息を吐き口寂しさを誤魔化すものを補充すべく自室へ向かう。不意に俺自身よく分からないが唇をなぞるも、それは口寂しさからかと小首を傾げ深く気に留めなかった。
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