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不破
2023-02-18 21:26:03
5641文字
Public
空戦
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#13
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「義手の調子はどう?」
「慣れないな。だが片腕になるよりは良い」
病室にやってきたハーティアからの問いに返しながら、ラザフォードは義手となった右腕を持ち上げ、感触を確かめるように拳を握る。目で捉える義手はしっかりと拳を握ってはいるが、実際の右腕の感覚はない。
極東の技術者による鉄甲炉心義肢と呼ばれる鋼と人工靭帯による特殊な義手であり、エーテルを貯蔵できる魔石を用いた炉心を内蔵している逸品で、通常の膂力を上回る出力を発揮することが出来るそうだ。腕を失ったことは損失だが、トランスヒューマニズムを駆使した装備を得るきっかけになったと思えばまだ納得も出来る。
「それより、攻撃の準備はどうなってる?」
「そう焦らないの。メルゼブルクに残っている各国の民間人の退避が間に合っていないのよ。第2艦隊を向かわせたから、退避完了の報告があり次第、第6艦隊でまずはメッカを開放するわ」
経緯はともかく、待ちわびた復讐が目の前にある。その為ならなにを犠牲にしようと構わないと思ってはいるが、リベルタリアに生きる貴族として人命を無視することは出来ない。曽祖父の代から続く爵位という役割に与えられた責務と、その立場に立つ者であるが故に掲げる矜持こそがこの報復を成し遂げるための原動力だ。感情のままに力を振るうだけでは獣と変わらない。自分達は人間なのだ。
「
……
わかった。俺達もメッカに向かう」
「ラザ、貴方はまだ万全じゃないでしょう? しばらくは休んで
……
」
言いながら病室を後にすべく踵を返す。背後から追いかけるようにハーティアの声が聞こえてくるが、ラザフォードは彼女を振り返りながらそれを遮った。
「俺の復讐なんだ。ハーティア。戦端はこの手で切る」
自嘲気味に小さく笑いながら一方的にそう言って、「義手をありがとう」と付け足してから病室を後にした。
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