不破
2022-10-09 17:22:18
4612文字
Public 空戦
 

#10




「アンタレス・オラクルを広域偵察中隊シャウラの隊長に任ずる」

 目の前で端末の光学モニターに表示された辞令を眺めながら、アンタレスはそう告げた上官の声に赤い星のような目を細めた。それを察したのだろうか?上官、ジェンソン・カリストラトフ中将がこちらの様子を窺うようにシルバーグレーの目をこちらへ向けたが、再びモニターへ視線を戻して続けた。

「シャウラ隊はコールサインの繰り上げを行うわ」

 ふわりとしたキャメル色の髪にすらりとした長身で、整ったモデルのような容姿をしているカリストラトフ中将。見た目通りの物腰の柔らかさではあるものの、オネエ言葉で話す変わった人物でもある。まあ、中将まで上りつめていることから優秀な軍人であることは証明されているが。

「新隊長、アンタレス・オラクル中尉をシャウラ1。アレン・ベルファスト少尉をシャウラ2、ウメ・ウサミ大尉をシャウラ3……

「ああ、中将殿」

 と、カリストラトフ中将がそれぞれの新たなコールサインを告げる途中で、ウメが片手を上げながら口を挟んだ。その場にいる全員がウメに視線を向けたところで、ウメが続けた。

「私は今まで通り4番でいいよ。若い面々になんて数字を背負わせたくないしね」

 四……たしか、東方では4という数字をシと発音するのだったか。そして、東方でシという音はDeadという意味で使われることもあり、4を忌み数とする文化があると聞いたことがある。

……オラクル中尉?」

……おれは構いません」

 こちらに「どうする?」という目を向けながら名を呼ぶカリストラトフ中将に短く返すと、中将は少しだけ考える仕草を見せたあと、続ける。

「では、セシア・G・カンパニュラ伍長をシャウラ3、ウメ・ウサミ大尉をこれまで通りシャウラ4とします。これまで以上の活躍を期待します」

 中将がそう締め括り、アンタレスは敬礼を返してからシャウラ隊の3人と連れ立って部屋を出た。
 1番機。まるで次は自分の番であると突きつけられるような感覚に襲われながら、左右に伸びる廊下を歩き始めた。

「あぁ……

 小さく、ため息とともに言葉にならぬ声を溢しながら。