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chizanapo
2022-06-05 14:58:59
6162文字
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【現パロ槍弓】次は裁判所でお会いしましょう【企業戦士とかいてビジネスパーソンと読む】
※ふんわり現パロ槍弓二次創作。弓がシロウ・A・エミヤ、槍がクー・フリンと名乗っています。
※女性向け恋愛ものです。でも朝チュン(実質的なエロシーンがない)なので全年齢にしておきます。登場する2人の年齢はたぶん28~30くらい。
※法律とビジネス部分は眉唾ですので信じないでください。英語にしては不自然な言い回しも見なかったことにしてください。所詮フィクションです。
※ビジネスマンってタグつけようかとおもったけど今ビジネスパーソンっていうのが正しいのか迷った
※ツイッター投票連載していました。お付き合いいただいた方、ありがとうございました。
※何千番煎じだろうと今の私はこれが書きたかったのでしょうがないとはおもいますが、不勉強ゆえ、あまりにも似てるという過去作があったらコメントなどでおしえてください。読みに行って満足したらこちらを閉じます。
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気づくとなぜか彼のために予約したホテルのベッドに並んで腰かけて、つたない英語で熱弁していた。相手の英語もだいぶ砕けてスラングまみれになっている。
「君は弁護士でいることがいやになったりはしないか? つまり、私的な都合につかわれる立場が、ということだが」
「そうだな、たまにはそう思う。
あの俺がつぶした申請だが、あれは実は業界にブレイクスルーをもたらそうとしていたんだ。
敵ながらあっぱれな申請だったんだよ。
ただ、代理人がクソだったし、証拠調べが手落ちだらけで新たな犠牲者が出ることが確実だっただけだ。
俺個人としては最初に申請をしようと思いついた奴はどいつだか知らんが、勇気あるし尊敬できるとさえ思う。
申請のコストともたらす真価を身内でさえ理解していなからああいうことになるんだ、ちくしょ」
腹立たしそうな内容なのに子守歌のようにひびく。ああ、この声。励まし、叱咤し、私の背中をそっと押す。
「あなたは、
…
。
自分の属する法治国家や市場経済全体の正義を守るというポリシーをしっかりもっている。
そのために裁判の証拠あつめに社内のあらゆるところをまわり、社外に頭を下げ泥臭い交渉をして、おどろくほど洗練された抗弁をつくりあげ、相手の土俵に乗りこんでいってまで弱点をひと突きにしてのけた。
だからこそ、勝った。
あなたは自社のためでなく社会の正義のために、戦ったんだな。
私は
…
、ずっと、そういう人になりたいという夢をもっていた」
「あ~~、そこまで言われるとさすがに照れるぜ」
背中に垂らした美しい青いほうき星のような髪束をゆらしてふいとそっぽを向いた。
そっとこっちに目線をもどしてくるのがかわいらしい。
「たまたまだ、たまたま。
おまえだって俺の立場だったら最善をつくしただろ?
そんで、たまたま、俺らの判決はネットニュースにまで乗った有名判決になっちまった。派手な論理構成で叩き潰して、それを高裁に採用されっちまったからな。
すると、どうなったと思う。
あとから同じような申請つぶしがたくさん乱立したのさ。あわよくば
……
ってやつだ。
けどちゃんとした手落ちを見つけ出して指摘できなければ裁判所は全部否定した。ちゃんとした申請はちゃんと通るのさ。
企業の企画部はもう次の商機に気を取られてるし、これがまた、秩序もなにもあったもんじゃねえ乱戦なのさ。
火種はつきねえよなぁ。俺の手柄なんてどれだけ歴史に残るかもわからんさ、せいぜい3年くらいだろ」
ふぅ、とため息をついてあちらをむいて頬杖をついたが、そのピアスつきの耳が酒のせいでなくほんのり赤い。
ああ、私の賛美が少しでもうけいれてもらえたなら。
わたしがあなたからうけた勇気と励ましの一部でも返せたのなら。
それだけで、私は満足だ。
「ちっとミネラルウォーター飲んでくる」
立って水を飲む横顔。それさえとても好ましい。それをぼうと見つめながら私は養父を思う。
切嗣、あんたが倒れたあとも。正義のために戦う戦士たちが社会の要所でがんばっているんだな。
その一人がクー・フリン氏だ。私はこういう男になれるだろうか。
すたすたと足音がもどってきた。ごぽ、と音をたててペットボトルを傾けている。
見上げてはっとした。ネクタイをほどいてボタンをはずしているから首筋と鎖骨が見えている。
プライベートタイム、なのだ。それはそうだ。
接待も入れて、フリン氏も私ももう12時間も稼働している。
「
……
あ、そろそろお暇しなくては」きょろきょろと鞄を探す。
「言おうかどうしようかとおもってたんだが
…
」
フリン氏に差し出されたスマホのホーム画面には、とっくに終電を過ぎた時刻。
「あっ
……
」なんてこった。頭をかかえた。タクシーも捕まらないし、なにより深夜料金で自宅までとは高い。
「ミスターエミヤのメールは、東部標準時で9時過ぎると返事なくなって19時に戻ってくるんだよなぁ」
フリン氏はにやりとわらった。
「ここに泊まっていけよ。たぶん空いてるぜ。フロントに電話する」
「しかしここも私の給料からすると高くてとても
…
」
「なら追加ベッドにしとけばいいだろ、会社にゃ内緒だぜ」
「そこまでお邪魔するわけには。そもそも私のほうがあなたのお世話をする係で」
「でもおまえの上司もう帰っちまったじゃねえか。俺は日本は不慣れだぜ?案内が欲しいなぁ~」
そうなんである。部長は明日お子さんの運動会だそうだ。
「なあ、ミスターエミヤ、俺の話はもう、聞きたくねえのか?」
卑怯だ。ノー、だなんて言えるはずがないじゃないか。
聞きたいと頷くとその笑顔のままフリン氏はいう。
「ミスタエミヤ、おまえのこと、そろそろシローと呼んでいいか? 俺のこともクーと呼んでくれ」
「シュロ」と「シロー」の中間のすこしゆっくりした発音はなんだかとても、官能的だ。
少年のような、それでいて成熟した男。企業の戦士。その唇がゆっくり自分の名前の形に動く。やわらかな擦過音。しゅろ。
「クー。もっとシロウと呼んでくれ」
「しゅろ、
…
しゅろ」
「くー。」
ああ、こうしてだれかと下の名前で呼び合うなんて何年ぶりだ。
耳元にささやかれるとぐっときてしまうのも、ただ久しぶりだからだ。
目の前の切れ長の赤い瞳を、長いまつ毛がしばたいてなかば隠す。頬に手をあてた。
キスをしていいか?とは聞かれなかった。ベッドは1台で済んだ。
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