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普賢のまわりの人たち
いつかあの日の星空を
2023年9月17~18日開催のWJ版封神演義・夢作品限定ウェブオンリー「夢の国のデンキヒツジ」に合わせて書いた夢SSです。
舞台は普賢が崑崙山に来る前にいた小さな村。夢主はその村の地主の一人息子です。
普賢がどうやって崑崙山に来たのか、そして
みんながみんな、仙人道士になりたがったわけではなかったのでは、というのも想像してみました。
夢小説ってどんなものか、いまいちよくわかっていないので、こんなのは夢じゃないと思われるかもしれませんが、その場合は「モブ目線の普賢の話」としてお楽しみいただけますと幸いです。
「大丈夫、きみはここにいて」
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待望の一人息子だった。祖父母は村一番の地主で、食べ物にも着るものにも不自由せず、まわりの大人たちはあたたかく、すべてにおいて甘かった。いずれ祖父母や両親から土地を継ぎ、村のまとめ役を引き受けると決められていた。荒波にもまれることなく、生まれつき与えられた運を享受しながら人生を終える、そう信じていたし、周りの人たちもそれを望んでいた。
「あなたの息子に仙人骨がある。崑崙山に参じ、仙人となるため私のもとで修行しないか」
一人の仙人がそういって両親を訪ねてきたことで、状況は一変した。十二歳になったばかりの頃だった。生涯にわたる安定と甘やかな時間を捨てて、見ず知らずの厳しい山へ行くなど、考えたこともなかった。もちろん断るつもりだった。きっと両親も、大切な一人息子を手放すなんてとんでもないと、仙人を追い返すだろう、そう思っていたのだったが、
「なんとありがたい話だ。わが家から仙人さまになる人間が出ようとは」
「一族の誉れだ」
「これでこの子は老いもせず長く生きられる」
父と母が頬を紅潮させ、祖父母が手を取り合って涙を流し喜んでいるのを見て愕然とした。ありがたい仙人の申し出を断るなどもってのほかといわんばかりだった。すべての人が自分との別れを喜んでいる、あまつさえよろこんで差し出そうとしている現実に、ただ呆然と立ち尽くした。
さっそく日取りや準備の相談が行われた。占いで佳い日が決められ、身の周りの調度品、向こうで困らない食べ物が次々に用意されていく。
本人不在で話を進める周囲に、言いようのない苛立ちが募った。なにより失望したのは、他でもないおのれ自身だった。これまで守られ、甘やかされてきたから、強い意志をもって言い返し、拒む力をこれっぽっちも持ち合わせていなかったのだ。
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