Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
浦山野あずま
1938文字
Public
二次創作(とうらぶ怪談)
Clear cache
Export ePub
とある本丸怪談・弐
陽の届かない本丸
人魚と海辺の本丸
主の家では何も起こらない
52ヘルツの審神者
1
2
3
4
人魚と海辺の本丸
「海が見えるよ、海が見えるよ」
毎朝、日が昇って一帯が楽に見渡せるぐらい明るくなった時分に、審神者は必ずそう声を上げる。さながら朝の到来を告げる鳥のようであった。
「海が見えるよ、海が見えるよ」
甲高い声で繰り返し、連れて行けと言外に告げていた。本丸は小高い丘に位置しており、確かに庭から海が一望できる。青く、穏やかな海だ。
台所で審神者の声を聞いた北谷菜切は、隣りで味噌汁の出汁をとる歌仙兼定に訊ねた。彼は古株なのだそうだ。
「主さん、なんで連れて行ってやらないんだ?」
北谷菜切は、先日初めて顔を合わせた審神者の姿を思い描く。
小さい顔、細い腕、大きな眼孔、変色した鱗と尾鰭。その全てが乾涸びていた。
人魚の木乃伊。
それが、北谷菜切が見た、この本丸の審神者だ。
声を上げるからには生きているのだろう。海に浸けてやれば、元に戻るかもしれない。
しかし、歌仙はふるふると首を振る。
「駄目だ。確かに海に浸ければ戻るかもしれないけどね。多分、糊も剥がれてしまうよ」
あの人は、猿と魚で作られた偽物だから。
1
2
3
4
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内