とある本丸怪談・参

現地調達する本丸/
とある首無しの顛末/
満開の桜の/
うちの犬が何かを育てている。

現地調達する本丸


その本丸の有する刀剣は少ない。片手の指が余るのだから、ひと部隊も組めやしない。発足したてなのかと訊くと、最古参だと言う。戦績を見ても、確かに歴戦の猛者と言って差し支えない戦数だ。
では、その数の少なさは何なのか。
話は検非違使が現れだした頃に遡る。
今でこそ対応策が知れ渡っているが、突然の検非違使の出現は多くの本丸に甚大な被害をもたらした。その本丸も部隊が壊滅し、主力であった刀はあらかた還ってしまった。失意に沈む審神者に、とある刀が言った。
「主、この俺にお任せ下さい。必ずや、主命を果たしてご覧に入れましょう」
その刀に言われるままに、審神者は依頼札に霊力を込めて、刀に渡した。刀はそれを持ってひとりで戦場へと出陣した。鍛刀場ではなく、戦場へ。我に返った審神者は、何故そんなに自殺行為を許したのかと後悔し泣き続けた。そんな主をよそに刀は仇敵検非違使と、さらにはついでに行きがけの駄賃のような気軽さで本陣の大将の首までも持ち帰った。
涙も引っ込み呆然とする審神者に、刀はにっこりと微笑んだ。
「現地で戦力を調達したまでです」
それ以来、刀は札だけを持って出陣を繰りかえし、遂にはひとりで厚樫山すらも攻略してしまった。それだけ出陣すれば新しい刀のひとりも連れ帰りそうなものだが、資材以外は何も持ち帰らないという。刀はただただ微笑んで「一番にして唯一の家臣の俺に全てお任せ下さい」と言うばかりであったそうだ。