大学芋
2026-07-19 21:54:17
2705文字
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奇縁心境

原藤ワンドロ お題 魔法
2026.07/19

大学芋は恋愛は分からぬ 特に友人以上恋人未満の関係とかはどう表記すればいいかわからぬ
くっ付いてるくっついてないは読んでいる読者にお任せする。

空の境界オマージュでEpilogueあたりの所。
曲のイメージ amazarashi 『奇跡』

冷蔵庫にモノを入れてる話
https://privatter.me/page/6a1b20fe43a15

傷跡の話
https://privatter.me/page/6a2ec81f461b3

雪の話
https://privatter.me/page/6a4a1d77268bd?p=2#contents

誘う話
https://privatter.me/page/6a65efb90ae12

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「ほら」

 藤堂以外誰もいないはずのシュミュレーションルームの雪が降る京のNew新選組屯所の縁側で座っていた藤堂は、いつのまにか来ていた白い上着を着た原田に目の前で紙の袋から出して、肉まんを出して半分割っていた。歪に割れてしまったのか、大きさが比例しない。分かっててやってるのか、小さい方を渡された。
 まだ、あたたかいのか湯気があり、冷たい手でも熱い事がわかる。醤油と出汁の匂いが漂い、中の筍と玉ねぎとひき肉がぎっしり詰まっており、売店で売ってる物よりも高そうな形をしていた。
 原田は隣に座りもう一口食べており、楽しそうにもう一口かぶりついていた。
 何がそんなに楽しいのかわからないまま、肉まんを小さく一口、ぱくりと口に入れる。
 割と醤油味なはずなのに塩と胡椒が効いており、あっさりとした味わいだ。こんなに熱くなければいいのにとゆっくりと噛み進める。

「よくここまで来て冷えませんでしたね。全く頼んでませんが」
「調理連中の旦那方が気を利かせて魔術で保温効果を長引かせてくれたんだよ、まぁでもこういう寒い中食べるのも乙なもんだろ魁先生」

 ただ反応を見に来てるだけだろうにと藤堂は愚痴を内心でこぼしつつ、三口めを口にする。
 てっきりまた二口食べて返される可能性を考えていた原田だったが、今回の肉まんはどうやら藤堂のお気に召したらしい。
 今まで何度か飲み物や食べ物を時間や品を変え出したが、どれもイマイチだったが、今回はそうでもないらしい。
 次はカレーまんかピザまんかあんまんを持って来て検証してもよさそうだと、頭のリストに追加した。

「昔は保温が長持ちする道具とか温石おんじゃく(石を温め布にくるむカイロの代用品)ぐらいしかなかったが、今は食品に対しても容器に入れて長く保温してくれるもんも増えたし、魔術で効果を伸ばしたりできる、幕末に比べると今の現代の方が魔法のような世界だな」
「それ、魔術師の方々に言ったらめんどくさいのであまり口に出さないでくださいよ」
「わかってるって」

 魔法と魔術。この世界には明確に区別されている。

 魔術は科学でも再現可能な神秘、奇跡を人為的に再現する行為の総称
 魔法はその時代では実現不可能な出来事を可能にするもの。

 長時間科学で結果が出るモノが神秘を使えば一瞬で可能のものは結果には変わりがないので魔術に分類される。
 
 今ある魔法は全部で五つ

 はじめの一つは第一魔法全てを変え
 つぎのニつは第二魔法・並行世界の証明と運営多くを認め
 受けて三つは第三魔法・魂の物質化未来を示し
 繋ぐ四つは第四魔法姿を隠し
 そして終わりの五つ目は第五魔法『魔法・青』、とっくに意義を失っていた。

 詳細は分かっているものは少なく、しかし確実に第五まではあるという。
 中にはまだ実現していない第六魔法に挑んで破れた魔術師もいたという話だ。

 聖杯戦争が違う世界で開催されるのも、魔術師やサーヴァントの願いを叶えるのもあるが、根源への到達という魔法への境地へ行く為の儀式ともいえる。


「原田さん、もし一度だけ何でも叶えられたら貴方は何を願いますか?」
「俺? 俺は――――

 あまりに藤堂の真剣な表情に、原田はふざけた答えを言えなくなった。
 言ったらそのために動きだしそうなきがして
 叶えたい願いは確かにある。
 ただ、いざそれを聞かれればありすぎて言葉にできないのだ。
 だからこそ、一つに絞り切れない原田は答えを出す

――――無い、今のままで充分だ」
「理由をお聞きしても」
「奇跡で願うより、俺自身で叶えたほうが楽しいから願う必要がないってだけだ、それに今の縁が既に魔法みたいな奇跡みたいなもんだろう、これ以上願ったら罰がきそうなきがすんだよな」
「本当、常々思いますが強欲ですよねあなたって」

 聞いて損したと言いながら藤堂は肉まんにかぶりつく。
 本当に渇望するほどに望む願いであれば、協力してもいいとも思っていた。
 しかし、口に出したのは縁である。
 それは、藤堂にとって恐ろしく、なによりも奇妙なモノ
 楽しいと心から思えるその欲望が本当に恐ろしいと感じる。

「この日常を魔法という奇跡というのであれば、全ての出来事は奇跡で起きてるのとなんな代わりない事になります。それを自ら行動して叶えてる時点で強欲すぎでしょう、とっととみんなの前で強欲だという顔を出すべきでは」
「ひでぇ言いようだ。そういう平助の願い事はなんなんだ?」
復讐者アヴェンジャークラスの僕が叶えたい願いなんてわかってるでしょう?
 具体的に言ったら止められるに決まってるじゃないですか、言いませんよ
 それこそさっきの願いでそれを口に出せばよかったのに、そういう所は抜けてますね」

 あ!? とうっかりした顔をした原田を見て、もう一かけらしかない肉まんを食べきる。
 この奇妙な関係性も彼が言う魔法だとするなら、本当に他人に望むものなど何もありはしないのだろう。
 
 藤堂が生まれた事も原田が生まれた事も縁という魔法奇跡だというなら、最終的にどうしようもならなかったあの油小路事件も魔法奇跡という話になってしまう。
 でも、それがあったからこそあの特異点が出来てしまい、カルデアに集結する事も無かったともいえるのだ。

 原田からすれば、もう二度と手放したくないモノであっただろうが、藤堂からすれば、手放していてほしかったものでもある。
 ただ、淡々と夢を見ないで眠り続けたかったのかもしれない

「本当、魔法で全ていなく世界が平和になってしまえばよかったのに」
「スマンよく聞こえなかった、なんて言った?」
「口が飽きたのでお茶を飲もうっていったんです、聞こえなかったって事はいらないってことでいいですね」
「いるいる!! どうせなら炬燵も出しちまおうぜ」

 藤堂は少し呆れながら靴を脱いで縁側の中へ入り、茶の間へと遠慮なく歩いていく。
 その姿の藤堂を原田は今日は何処をつついてやろうかと、悪戯心を忍ばせながら屯所の倉庫から炬燵を取りに出しにいくのであった。