Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
Koishirotae
2026-07-10 18:36:29
5242文字
Public
Clear cache
オー晶ドロライまとめ
夢森5ドロライまとめ(別垢投稿分含む)
1
2
3
嘘つき
「賢者様って最低」
食堂に入った瞬間、開口一番にそう罵られた晶は目を丸くした。
じっと晶を睨みつけているのは北の魔法使い。その色白な顔にクリームと思われるものをつけながら、彼は呆れたようにため息をついた。
「嘘つき、偽善者、最悪」
「ええと
……
何かありました?」
晶には心当たりがない。なぜ朝の挨拶もすっ飛ばしてオーエンに罵られているのだろうか。その一心で尋ねれば、ますますオーエンの顔が歪んだ。汚く舌打ちをしてから手の甲で口元を拭う。そのまま手についたクリームを舐めながら、オーエンは信じられないものを見るような眼差しで晶を見つめた。
「本気で言ってるの?」
「えっと、はい」
オーエンは黙り込んだ。不快感や嫌悪感を丸出しにする彼に、晶はますます戸惑う。なにか彼を怒らせてしまうようなことをしてしまったのだろうか。けれども特に何かした記憶は
――
……
。
(
……
いや、したな)
つい数日前の出来事に晶は辿り着いた。
晶には小さな秘密があった。誰にも明かしていない、そんな秘密。それを晶はつい勢いでオーエンに言ってしまったのだ。よりにもよって、ミスラとの喧嘩で死にかけていたオーエンに。
『あなたが傷つくところは見たくないんです』
『
……
なんで。おまえには、関係ないだろ
……
』
『なんでって
……
』
晶はオーエンの止血をしながら言葉に詰まった。悲し気に顔を伏せてから、静かに口を開く。
『
……
私が、オーエンのことを好きだから』
そう口を滑らせてしまったのだ。
もしかしたらそれが嫌だったのかもしれない。あれからオーエンはうんともすんとも言わなくなって、まるで晶の告白なんてなかったかのようにいつもの日常に戻った
――
のだが。
「あの件に関してはすみません。聞かなかったことにしてください」
もしかしなくてもオーエンは晶の告白を覚えていたのだろう。そもそもオーエンは意外と律儀なところがあって記憶力もいい。忘れてくれた、なんて、それは晶の希望的観測でしかなかった。
そう恐る恐る謝ってから晶はちらりとオーエンの様子を伺う。彼の眉間のしわはますます深くなっており、晶は身を縮こまらせた。
「それ、何に対して謝ってるの?」
大量のクリームが入った皿をテーブルに叩きつけてから、オーエンは苛立ったように立ち上がった。そのままずかすかと晶の方へ大股で歩いていき、彼女をじっと見下ろした。その眼差しには深い怒りと失望、苛立ちが現れていて、晶は思わず緊張で呼吸を止めた。
「おまえ何もわかってないだろ。鈍感、間抜け」
「す、すみません
……
」
晶は思わず一歩後ずさる。そんな彼女を逃がすまいとオーエンが腕をつかんだ。怒りのこもったそれは見た目に反して力強く、晶は思わず顔を顰める。
「あの、ちょっと痛い
……
」
「僕のことが好きって言ったくせに、なんで昨晩はミスラとずっと一緒に居たの」
一瞬理解が遅れた。オーエンの言葉を飲み込んで、晶は慌てたように目を見開いた。
「もしかして寝かしつけのことですか?」
「わかってるよそんなこと!」
苛立ったようにオーエンは声を荒げた。
「ああ、わかった、賢者様は本当は魔法使いなら誰でもいいんだろ。浮気者」
嘲笑するように鼻を鳴らした。晶を傷つけるための言葉を選んで並び立てていく。けれども、そんな彼が一番傷ついているようにも見えて、晶は真剣に彼を見つめた。
「誰でも良くないです。もちろんみんなのことは大切な友達だと思ってますけど、特別になりたいと願ってしまうのはオーエン、あなただけです」
「だったら僕のことだけ見てろよ。好きって言うくせによそ見ばっかり、全然面白くない」
オーエンの言葉に晶は思わず失笑した。そんな彼女を見てオーエンはますます不快になる。先ほど飲むようにして食べていたクリームが胃の中でぐるぐるして、オーエンは再び大きな舌打ちをした。
「何がおかしいの? 北の魔法使いをからかってそんなに楽しい?」
「からかってないですよ。
……
ただ、その」
晶は挑発的に笑った。あの北の魔法使いに対して、随分と大胆な笑みだった。
「オーエンって結構私のこと好きなんですね」
「
…………
はぁ?」
オーエンは気の抜けたような声を出した。同時に彼女から向けられる視線がくすぐったくて、咄嗟に腕を振り払う。
「調子に乗るなよ」
気がそがれた。そう言いながらオーエンは煙となって姿を消した。
残されたのは晶と大量の生クリームだけ。静かになった食堂で、晶は緩む口角を必死に堪える。
――
彼が怒っていた理由。それは晶を期待させ浮かれさせるには十分すぎるものだった。
1
2
3
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内