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Koishirotae
2026-07-10 18:36:29
5242文字
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オー晶ドロライまとめ
夢森5ドロライまとめ(別垢投稿分含む)
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雨宿り
雨が降る。それは突然起きた異常気象のように激しく、大地を叩きつけた。
スコールと呼ばれるものだろうか。さきほどまで眩しいほどの青空を見せていたはずのそこは黒くて厚い雲に覆われている。南の国ではたまに起こるんです、と教えてくれたルチルの顔が晶の脳裏をよぎった。
そんな大雨が晶を襲ったのは、日が傾きだした頃。夕食の食材が少しばかり足りない
――
そうネロに言われた晶はおつかいを申し出たのだ。魔法使いたちが泊っている宿から市場まではそうたいして距離もない。量も少ないし一人で大丈夫だと頷く晶に魔法使いたちは顔を顰めた。
『賢者が一人はちょっと
……
そうじゃ、オーエンちゃん! 賢者ちゃん手伝ってきて!』
どこか楽しそうに告げるホワイトの顔と、それを聞いたオーエンのひどく嫌そうな顔のアンバランスさは愉快だった。
晶はなんやかんやとホワイトに丸め込まれたオーエンと、こうして買い出しに出たのだが
――
そこで遭遇したのはこのスコール。二人で慌てて近くの軒先に駆け込んで今に至る。晶はちらりと隣のオーエンを見やった。
彼は不機嫌そうにマントの裾を絞っていた。ポタポタと水滴が足元を彩っていく。彼の銀の綺麗な髪からも水滴が滴り落ちて、晶は思わず彼の横顔に見惚れた。
「
……
なに?」
そんな視線に気が付かないはずもない。オーエンは水滴を絞り切ったマントを魔法で乾かしながら、ちらりと晶を横目で見た。その左右で異なる瞳に見つめられて晶は思わず肩を竦める。見惚れていたことは黙ったままで、そっと雨を見つめた。
「すごい天気ですね」
「で?」
「ルチルいわくこの手の雨はすぐ止むらしいですよ。ゲリラ豪雨みたいですよね」
「げりら
……
なに?」
オーエンが怪訝そうな顔で指を鳴らす。彼の周りに一気に風が吹いて、水気を飛ばす。気が付けば彼だけ完全に乾いていた。
ついでに私のことも乾かしてくれないかなぁ、なんて思いながら晶はそっと外を指さす。
「こんな感じの突然の大雨のことです。私の世界では夏ごろになるとよく起きる気象現象だったんですよ」
「へぇ、で、そのたびに賢者様は濡れ鼠になってたって?」
「ま、毎回はなってませんよ!」
「なってたんだ」
オーエンは呆れたように腕を組んだ。そのまま壁にもたれかかって、退屈そうに空を見上げた。風が強くて分厚い雲がみるみるうちに東側に流れていくのがわかる。恐らくあと五分も待てば止むのだろう。オーエンはぼんやりと雲の行方を追いながら晶のたわいない会話を聞いていた。
「友達の家に遊びに行ったときに雨が降り出しちゃって。その時は雷もすごかったから、友達の家の猫ちゃんがびびって隠れちゃったんです。かわいそうだけどちょっと可愛かったな」
「ふぅん」
「で、その子の家、犬もいたんですけどなぜかその子は元気で。不思議だねぇなんて笑いあったこともあるんです」
「へぇ」
「猫と犬飼ってるとそんな小さな違いが面白いなーなんて、思うんですけど
……
」
ふと不安に駆られた晶はオーエンの横顔を覗き込んだ。つまらなそうな顔をしている彼に思わず謝罪の言葉をこぼした。
「なんで謝るの?」
「私ばっかり喋っちゃったな、と思って
……
」
「別に。こうしてても退屈だからそのままピーピーわめいててよ」
晶は身を竦めた。やっぱりうるさかったんじゃないか。そんな不安に駆られて口を閉ざした。そんな晶をちらりと見てから、そのままオーエンは黙って空を見つめ続けた。
予感通り、雨は数分で止んだ。大地に広がる水たまりに虹がかかる。少しだけぬかるんだ道を二人は並んで歩いて帰った。
「賢者様、オーエン。おかえり、遅かったな」
「騎士様うるさい、その口縫い付けるよ」
出迎えたカインが苦く笑った。オーエンが突然理不尽なのはいつものことだ。晶から荷物を受け取りながら、彼は首を傾げた。
「だいぶ遅かったけどなにかあったのか?」
そんな彼に晶もまた首を傾げた。あのスコールはこの宿の周辺も降っていたはずだ。晶はそう疑問に思いながら答える。
「雨がすごかったんで、しばらく雨宿りしてたんです」
「雨宿り? そんなの雨避けの魔法で
――
……
」
「カイン!」
オーエンが珍しく声を荒げた。その瞳は機嫌の悪い猫のようにそっと細められており、カインは何かに気が付いた。
「
……
まぁ、たまには雨宿りもいいよな!」
彼の不機嫌そうな視線と顔。余計なことは言うな、ということだろう。そう察して、カインは笑って誤魔化した。
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