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Koishirotae
2026-07-10 18:36:29
5242文字
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オー晶ドロライまとめ
夢森5ドロライまとめ(別垢投稿分含む)
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3
キス
晶には悩みがあった。
北の魔法使いオーエン。掴みどころがなくて、恐怖や不安を好む怖い北の魔法使い。魔法舎での共同生活を経てだいぶ仲良くなれた、と、晶は思っていたのだが
――
。
「噛まれるんです」
「噛まれるぅ?」
フィガロ・ガルシアは情けない声をあげた。賢者である晶に内密に相談したいことがあると言われ、うきうきで相談に乗る姿勢をとったのだが、その想定外にもほどがある内容に頭上にクエスチョンマークを飛ばした。
「オーエンに噛まれるってこと?」
「はい。やっぱり北の国だとそういう文化が
……
?」
「いや待って、理解追いついてないから」
フィガロは顔を覆いながら大きなため息をついた。
晶の相談をまとめるとこうだ。
最近オーエンが急に現れてキスをしてくるようになった。二人はそういう関係なのかとフィガロは疑ったが、晶いわくそういう関係ではないらしい。晶もはじめは動揺したけれど何も言わずにキスしてくるオーエンに閃いた。
――
猫ちゃんが鼻チューするのと同じかもしれない。そう解釈して彼のキスを受け入れることにした。
――
この時点で言いたいことはごまんとある。全然違うよ賢者様、という言葉を飲み込んで話の続きを聞いたフィガロはますます頭を抱えた。
そのキスの際に、唇を噛まれることが増えてきたのだそうだ。しかも痛いからと文句を言ってもお構いなし。もしかしてこれが北の国の挨拶なのかな。そう疑った晶はフィガロに相談したというのだ。
「挨拶はいいんですけど、噛まれすぎてちょっと痛いんですよね
……
」
そう己の唇を抑える彼女にフィガロは何とも言えない気持ちになった。何をどこから訂正すればいいのか。フィガロは痛む頭を押さえながらそっと晶に語り掛けた。
「ええと、賢者様。あのね、北の国には挨拶で唇にキスをする文化はないし、噛みつく文化もないんだ」
「
……
? え、ならなんで
……
?」
「それはオーエンに聞かないと分からないけど、とにかくそんな文化北の国には
……
いや、多分世界各国探してもないよ」
晶は驚いたようにその猫のような目をまるくした。フィガロは軽く呪文を唱える。
「とりあえず軽い治癒魔法だけかけておくから」
その荒れた唇に魔法をかけて、フィガロのお悩み相談室は幕を閉じた。
(そんな文化はない
……
?)
晶は首を傾げながら廊下を歩いていく。晶の考えていたことが違うとすれば、オーエンはいったい何故晶に噛みついてくるのだろうか。何かの嫌がらせなのか、それとも? いくら考えても答えは出てこなかった。
そっと唇に触れてみると荒れていたはずのそこは大分落ち着いている。治癒魔法ってすごいなぁ、なんて現実逃避をしながら晶は自分の部屋のドアをそっと開けた。
「うわっ」
開けた先にオーエンがいた。真っ暗な部屋でただじっとたたずんていて、そんな彼に思わず晶は一歩後ずさった。
「こ、こんばんは
……
?」
オーエンは何も答えなかった。無表情でじっと晶の顔を見つめている。晶はそんな彼の恐ろしいほどの視線に、唇を隠しながらさらにあと一歩後ずさった。
「
――
フィガロの気配がする」
「え?」
晶が戸惑うのも一瞬で、オーエンは晶の腕をつかんだ。その隠されていた唇を暴くと、そのまま大きく口を開ける。晶があ、と思うと同時に鈍い痛みが再び唇を襲った。
(いつになったら治るのかなぁ)
晶は痛みに耐えながら彼からの甘噛みというにはちょっと過激なそれを受け入れた。
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