冥土うさ
2026-07-01 13:27:51
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「ただいま留守です」

FF14二次創作 / 光の戦士♂ / 凪ってるヒカセンのみなさんへ


 朝日が庭木の葉を透かしていた。
 ジョウロを手に花壇へ向かう。昨夜降った雨のおかげか、土は十分に湿っていた。
 水やりの必要はなさそうだ。
 花壇の前にしゃがみ込み、花の様子を眺める。葉先に溜まった雫が朝日に光る。
 風は穏やかで、雲ひとつない空だった。
 絶好の冒険日和だなと、ぼんやり思う。
 だからと言って、どこかへ行くつもりもなかった。
 花壇を離れ、畑を見回る。植えたばかりの苗に異常はない。
 チョコボ小屋の掃除もしなければならないし、相棒の朝ごはんも用意しなくては。作りかけの家具も残っている。
 やることはいくらでもあった。
 ふと視界の端で、モーグリレターの配達員がポストへ何かを放り込むのが見えた。
 依頼だろうか。
 そう思ったが、確かめる気にはならなかった。
 明日見てもいい。
 明後日でも構わない。
 どうせ逃げるわけではない。

 空を見上げる。
 世界は今日も平和だった。



「ただいま留守です」

PLEASE DO NOT DISTURB




 朝食を終えた相棒が満足そうに鳴いた。
 空になった皿を回収し、小屋の藁を新しいものに取り替えた。ついでに柵の緩んだ箇所を直し、花壇の雑草を抜く。
 気づけば昼が近かった。
 家へ戻る途中、ポストの前を通り過ぎる。
 朝届いていた封筒は、そのままだった。中身は見ていない。気にならないわけではない。ただ、今でなくてもいいと思った。
 急ぎなら誰かが呼びに来るだろう。そうでないなら、明日でも間に合う。それだけのことだった。
 封筒を横目に通り過ぎ、家の扉を開く。
 やることはまだ残っていた。
 棚の上には手をつけたままの木材が積まれ、机には図面が広げられている。
 紙やすりを手に取り、木材の角を丸める。
 単調な作業だった。嫌いではない。
 木屑を払っては手を動かし、また木屑を払う。
 気づけば窓の外で小鳥が鳴いていた。