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Koishirotae
2026-06-27 21:58:27
6445文字
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【過去作】なんかいろいろまとめ
全部ヒス晶。
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【マフィひすと飼い猫】
賭場に似つかわしくないやつがいる、と思った。青を基調とした豪華なスーツに、触り心地の良さそうなファー付きのコート。パッと見て、俺はそいつが誰かすぐ分かった。
「よォ」
軽く声をかければ、その男はこちらを見て穏やかな微笑みを浮かべる。この甘い顔に騙されると痛い目に合うんだよなァ。何せこいつはあのパンテーラファミリーの最年少幹部だ。
「お久しぶりです、ロバートさん」
「ブランシェットの兄ちゃんがこんなとこに何の用だい?」
正直ここはだいぶ格下の賭場だ。俺みたいな何も持ってないようなやつが集まるところ。パンテーラファミリーの運営するようなカジノとは全くの別物だった。
「少し、息抜きに」
こいつがニコリと笑顔をうかべる。なるほど、聞くなってこった。俺も命は惜しいから下手につつかないで置こう。たまに会って会話するぐらいの距離感がちょうどいいんだ。
そんな時、ふと奴の後ろに一人の女がいることに気がついた。身なりが整っており、オドオドした様子で当たりを見渡している。フゥン、と俺は顎髭を撫でた。
「なんだァ、女連れとは珍しいじゃねぇか」
世間を知らなそうな女だ。遊郭に売られたばっかの女かもしれねェな。新しい商品を雑に扱う安っぽい店が大半だが、身綺麗にする店もあるって噂だ。しかしまぁ、売られた直後にこの男に買われたなら将来安泰だろうよ。よっぽど夜が下手だとか、怒らせるようなことをするとかしなければ。じろり、と俺は女を品定めする。
「出るとこ出てねぇから抱き心地は良くなさそうだけど、顔はそこそこだな。いい女だな」
俺としちゃもうちょっと肉がついてる方がいいけど。そう思った瞬間、背筋が凍った。死にかけた時に感じたような恐怖。ふと男の青い瞳が鋭い氷の如く細められた。
女の腰をくいっと引き寄せる。綺麗に形作られた笑みを崩すことなく、やつの艶やかな唇が開いた。
「いい女でしょう。俺のお気に入りなんです」
読み間違えたことに気がついた。てっきりたまたま一晩だけ買った女かと思ってたけど、違う。多分この男の愛人かなんかだ。やっちまったなァ、と俺は冷や汗をかいた。あのパンテーラファミリーの幹部を怒らせて無事で済むとは思えねェ。
「晶、そろそろ行こうか」
女にそう話しかけたあとに、律儀に俺にも挨拶をする。
「またいつか生きてお会いしましょう。では」
「
……
あ、あァ
……
またな
……
」
本当に生きて会えるのかわかんねェな。今日の夜にでも殺されっかも。堂々と女と共に立ち去るその姿に、俺は安堵と恐怖を抱いた。
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