柚子茶
2026-06-05 08:35:24
4670文字
Public 短編
 

チンピラ、海を渡る

2026年の虫の日記念その2
アゲハントを見に行くお話
※小説じゃないただの会話文



「あらそれだけ?」
「それだけってのは?」
「新しくポケモンを手持ちに加えたとかないのかしらって話よ。そのアゲハントのこと気に入ったんでしょ?」
「気に入ったとは言ってねえ。認めてやっただけだ」
「貴方の海のポケモン以外への評価としては最上級じゃないの」
……アゲハントは陸のポケモンだろうが」
「ええ? じゃあ海の子は? せっかく南の島に行ったならパルデアの海には居ないポケモンにも会えたんじゃないのかい」
「会えたよ、サフラの海も潜ってきたしな。だがあっちとこっちじゃ気候が違い過ぎる。パルデアの環境に適応できるとは思えねぇから連れて来なかった」
「そんなに違うの?」
「コオリッポが常にナイスフェイスになる程度には暑かった。悪ィことしちまったぜ」
「ふぅん。そうかい」
「ふふふ。そうなのね」
…………なんだよテメーらニヤニヤしやがって」
「だって、ねえニール?」
「ええそうね、クミリ?」
「双子アピールキッショ。言いたいことあんならさっさと言えや」
「君のそういう所を積極的に見せていけばいいのにと思っただけさ」
「口が悪くて偏屈なだけで、賢くて優しい子なのにね」
「キモさの予想を超えていくなよ。大体俺は海以外には――
「ねえパイセンたち今シュガパイ居るー!?!?!?」
「喧しいんだよカタビラァ!!! 俺を美味そうな名前で呼ぶなァ!!!!」
「居るじゃん! あのさあ、さっきおれ海のアゲハント見つけたんだけど羽ボロボロだったからミモりんのとこつれてったんだ!」
「ケイコウオを見つけたからってなんだって……待て、羽?」
「カタビラ君、その海のアゲハントってケイコウオのことかい?」
「ちげーよ? ミドリがアゲハントだって言ってた!」
「ミドリ君?」
「あの子でしょ? ゴクリン連れの保護者くん」
「あの地味な2年、って違ェよ! その流れで本物のアゲハントなことがあるかァ!」
「なんで怒られてんのおれ! 海に居たアゲハントなら海のアゲハントでしょ!? シュガパイが探してたんじゃないの!?」
「海のアゲハントはケイコウオの別名。シュガー君が探しに行ったのは陸のケイコウオ、つまりアゲハントだね」
「じゃあ合ってるじゃん!」
「チッ」
「どこ行くのよ」
「保健室!」
「ちょっと! ドアくらい閉めていきなさいよ!」
「ねえおれなんかした!?」
「安心したまえよ。したはしたけどファインプレーってやつさ」

「マジで居るじゃねぇか」
「ハハンッ!」
「おっ、元気になったじゃん。この子あんたの友達?」
「別に、友達とかじゃ」
「ハァアン!」
「そっかー迎えに来てくれてよかったー。はいじゃーお大事にー」

「テメーなんでいるんだよ。……まさか俺を追いかけて来たのか」
「ハハン」
「どうやって、いやアゲハントは渡りをするんだったな。わざわざその羽で飛んできたのか」
「ハハハンッ!」
……そうかよ。ジャングルの奴らはちゃんと黙らせてきたのか」
「! ハハハァァァアン!!」
「ハッ、やるじゃねえか。認めてやるよ、テメーは間違いなく『海のアゲハント』だ。俺と一緒に来い!」
「ハンッ! ハハハン! ハアン!」
「分かった分かった。……さて、まず校長のとこか。テメーは知らねえだろうがここにはテメーの同族は生息してねえんだ。覚悟しとけよ。オベンキョーの時間だぜ、着いてきな」