柚子茶
2026-06-05 08:35:24
4670文字
Public 短編
 

チンピラ、海を渡る

2026年の虫の日記念その2
アゲハントを見に行くお話
※小説じゃないただの会話文


「フィオレ地方?」
「陸のケイコウオのツラを拝んでくる」
「陸にケイコウオとか居なくない???」
……ああ、アゲハントのことね。ケイコウオが海のアゲハントだから」
「いいんじゃないか? シュガー君が海以外に興味を向けるというのも珍しいしね。なんなら我がアウトドア同好会の最初の活動としてみんなで遠征するかい?」
「なーにが『我がアウトドア同好会』だよ。協調性ない生徒を押し込んだだけだろうが」
「確かに。変態技マニアと海洋ポケモン至上主義者とリードの外れた犬ポケ狂いだものね」
「失礼な。ポケモンの技を自らの体で受け止め体感するのは、高名な博士も実践している列記とした研究だぞ」
「だからって自分に技を当てるように後輩やポケモンに要求するのはやめなさいな。ケンタロスを庇う女の子なんて初めて見たわよ」
「Heyパイセン、人間がリード付けてたらそれこそ変態だとおもう!」
「あなたの行動力は幼児のようなものだから犬ポケモンよりリードが必要よ」
「ニール、テメー何『自分は常識人』みたいなこと言ってんだよ。結晶洞窟から結晶をちょろまかそうとした反省文は書いたのか?」
「なんで知ってるのよ!」
「はいはいそこまで。それでいつから行くんだい?」
「今日の夜の便で行って、陸のケイコウオとフィオレの海を見たらさっさと帰ってくる。一週間以内には帰ってくる」
「なんでいちいち陸のケイコウオって呼ぶん? 揚げまんじゅうの方が短くね?」
「アゲハントね」
「なんでたった五文字を聞き間違えるのよ……
「アボカドは森のバターと呼ばれているが、牛乳を牧場のアボカドと呼ぶ奴に会ったことがあるか?」
「ない!」
「そういうことだ」
「どういうこと?」
「じゃ、俺は荷造りするから帰る」
「ねーどーゆーこと!?」
「代替品っぽい言い方が気に食わないのかしら」
「代替品でもいいじゃないか。ケイコウオを見て故郷のアゲハントを思い出し懐かしんだのだろう?」
「めっちゃいい話じゃん!」
「それ教えてあげたら良かったじゃない」
「無理だよ。今適当にでっち上げた話だからね」
「感心して損したわ」