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平熱
2026-06-03 20:16:29
3331文字
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ノープラン・ハートビート
ちー→じゃめ前提のちー+りょうが付き合う話
ちー+りょうは友達です
⚠️本編後軸、特2の職場環境、りょうたん→特2行員の呼称、本編に至るまでのうじゃめの髪色、りょうたんと出会った時期など捏造
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「あ゛〜〜
……
シャバの空気うめぇ〜〜
……
」
伸びをすると、少し冷えた空気が全身に巡っていくようで気持ちいい。
「明るいうちに外に出るの、久しぶりだね」
隣を歩くチーくんの声色も、そわそわしているのが隠し切れていない。
いつもなら画面の前に拘束されている時間帯だが、オレたちは外にいる。しかもサボりではなく、立派な業務だ。
こっしゃんセンパイが限界でヤバい空気になっており、センパイの機嫌を取るため、もとい全員が安全に仕事を進められるよう差し入れの買い物を託された。オレたちはマスターアップには関わらないので、最近はこういう雑用ばかりやっている。
朔斑のオフィスにも無人のコンビニみたいなのが併設されていて、普段の昼食とか夜食はそこで調達しているのだが、もう少し人里に近いところにはもっとデカい店がある。センパイたち曰く、銀行の息がかかっている(?)ので欲しいものをなんでも揃えてくれるらしい。ただ、「外に出たら余計なことを企みそうだから」とのことで、オレは今まで行ったことがなかった。
買い物リストは大体が甘いもので、謎にゴンチャとかもあって、もし本当に買えるのなら(どーゆー仕組み?)オレも飲みたいなー、と思う。でも日本円以外の対価を要求されそうな気もして怖い。
森とか山とかしか表現しようのない景色の中を歩く。ぶっちゃけここが日本のどこなのかもよくわかってないが、今生きていて、綺麗な空気を吸えているのが嬉しい。
恐怖とか、後悔とか、未練とか、不安とか、そーゆー闇っぽいとてつもないものが押し寄せてくるのはなんにも変わってないけど、見ないふりはオレの特技だ。
「
……
あ」
少し先を行くチーくんが呟いて立ち止まったので、猫背にぶつかりそうになる。危ねぇな!? 鼻が完治するまでどんだけビクビクしながら生活したと思ってんだよ。
チーくんはそのままオレの左側に並んだ。
「え、何
……
?」
「いや、その
……
」
視線をさまよわせた後、もたもたと口を開く。
「しゃ、車道側歩いた方がかっこいいかなって
……
」
「
……
」
遠くでなんかの鳥(田舎にいるやつ)が、でー・でー・ぽっぽーと鳴いている。
そういえばオレたちは付き合っていたのだった。
「ギャハハハハハ!!! こんな山道に、車道側とか、無ぇーから! マジ、ッフフフッ、っ
……
!!!」
呼吸困難になりそうなくらい爆笑してしまった。チーくんは「笑わないでよっ
……
!」とムキになっている。全然怖くない。むしろ真剣な様子がおかしい。
たっぷりと笑い続けて、動けないままヒィヒィ言って、ようやく落ち着いて涙を拭って顔を上げる。
目が合うと、チーくんも少し笑った。諦めたように、あるいは照れたように。
そんなふうに笑うのは、前までのチーくんなら絶対ありえなくて、ちょっと感心してしまった。
そよそよと風が頬に当たる。
オレたちは少しずつ大人になっているのかもしれない。それが、過去のツケを払うためではなく、今ここにいる自分と、あと友達とか好きな人のためなら、とても幸福なことだ。
でももっと頑張れよ、と祈る。だってうじゃめ君はもっとずっとかっこいいのだから。
「なー、手でも繋ぐ?」
「え
……
?」
「いや冗談だけどさぁ。そんなマジで拒否る?」
その後、班の全員から「遅い!」とこってり絞られるとはまだ知らないオレたちは、ささやかな光のもとを気が済むまで歩くのだった。
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