平熱
2026-06-03 20:16:29
3331文字
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ノープラン・ハートビート

ちー→じゃめ前提のちー+りょうが付き合う話
ちー+りょうは友達です
⚠️本編後軸、特2の職場環境、りょうたん→特2行員の呼称、本編に至るまでのうじゃめの髪色、りょうたんと出会った時期など捏造

「りょうたん、僕と付き合ってほしい」
 太眉をきりりと上げて、チーくんはそう言った。
 遅い昼食を摂っていたオレは蒸しパンを喉に詰まらせそうになる。徹夜した身体がびっくりするとただのびっくりでは済まなくなることを初めて知った。
 チーくんから二人きりで話があると持ちかけられてからお互いの仕事になんとか都合をつけて、それでもオレは片手間になってしまったのだけど、休憩スペースを使う人が他にいない時間さえも計算して告げられた内容はあまりにも現実に似つかわしくなかった。
 今日まで散々、チャットじゃダメ? とかメモってデスクに貼っといてくんない? とか提案もして、却下され続けて、チーくんってそういえばこういう奴だったよな……と遠い目になった。
 その先にあったのが、この、告白。
「何、ついにイカれた? 忙しすぎて……
 気の抜けた炭酸水をごくごくと飲んで事なきを得てから、オレはそう返事する。
 だってここは、抜けるような青空も可愛い女の子も拝めない特別業務部二課朔班だ。もともと知的で(オレらの中では)しごできだったチーくんも、苦労していたとはいえ、必死に環境に適応してきたころだったのに。いきなりどうかしちゃってる。
「てゆーか、チーくんってうじゃめ君が好きなんじゃないの」
「えっ!? な、なんでそれをっ……
 デカい声を出して、チーくんは顔をたちまち赤くした。
「いや、バレバレだからね……
 ヨーグルトの蓋を剥がしながら呆れると、眼鏡の奥で目を泳がせて狼狽えている。面白いくらいころころ変わるその表情になんだか懐かしい気分になる。
 少しの沈黙の後、再び覚悟を固めたようにチーくんは語り出した。
……そうだよ、僕はうじゃめ君が好きだ。でも、僕の人生でうじゃめ君がどれだけ大切だったか気づいた後も——僕はかっこ悪いことしかできなかった。ここに連れてこられてからも、何回も挫けそうになって……こんな情けない自分のままじゃ全然隣に立てないって思ったんだ。えっと、それで……りょうたんは、そういうの詳しそうだから……
「は?」
「え?」
 ナメてんのか。と喉まで出かけたのをヨーグルトのなめらかさで落ち着かせて、明後日の方向に向かっているEz Modeの元ブレーンをそれなりに心配する。
 けどまぁ。
 面白そうだからいっか。
「いいよー」
 目を合わせて微笑む。チーくんの緊張した面持ちが和らいでいって、まだ自分は営業用の表情ができたんだなぁ、と謎に感慨深くなった。
 こうしてオレたちは秘密のお付き合いをすることになった。