いを
2026-05-30 19:22:43
989文字
Public 刀神
 

潮月抄・第三幕

「残潮/白む海」
青嵐


五、彩雲

 夜が明け、雲が流れてゆくのがここからでも見える。
 私が私として生きた道すがら。生きていていいと言われたから、役に立つと喜ばれたから。
 そして、少しでもいい。――あの方の役に立てたのならうれしい。
 振り返ると、足もとには砂浜に残る草履の痕、流木、貝殻があった。
 空には雲。
 生涯存在する雲などありはしない。だから、これらもいつか消えるのだろう。