enachiot
2026-05-09 12:30:47
12344文字
Public MARIKINonline4二次創作
 

【MO4】ボコボコパーティ! Act2(初版)/ BOKOBOKO PARRY! Act2

「【MO4】ボコボコパーティ! Act2/ BOKOBOKO PARRY! Act2」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27692002 について大幅改稿をいたしましたが、ありがたいことにたくさんの方に読んでいただけましたため、初版をこちらにアーカイブしました。
お読みいただいた皆さん、ありがとうございました!


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歓声の中、落ちたシュミタロウにウイエが歩み寄る。
「いやあ、私の出る幕はなかったね。」
……お前は自分の役割を果たしていたぞ。だいぶペースを乱された。」
「宇宙最強にそう言われるとは光栄だね。さて……。」

振り返れば、各々全身全霊の一撃を叩き出し、動けなくなった三人。
「私一人では継戦は無理だ。我々の時間はここまでだね。だが……。」


「当然、君はまだやりたいだろう?」
「無論。」
シュミタロウが、目を細める。


「私も楽しかったよ。この高揚を忘れないうちに書き留めたいが……ああ、いや。もう『次の題材』が来るかな。」
シュミタロウが起き上がり、鉄槌を手にする。
視線の先には、戦場に足を踏み入れた最終チーム。

――どこからか、馴染み深いイントロが流れ出す。

「おいアクシズ! 支援はご法度だぞ!」
氷虎の制止も聞かず、アクシズはDJブースを展開していた。
「バフは乗せないぞ、流石にな。」
スピーカーから四つ打ちキックの重低音が響き出す。
「では何故……?!」
「何故って、当たり前だろ。」
アクシズが笑う。
「こんな最高の戦闘 ライブには……とびっきりのナンバーが不可欠だって思わないか?」

……お前なぁ……。」
氷虎は、止めなかった。
音量が上がる。ボルテージが上がる。皆が腕を振り上げる。あのコールを叫ぶ時を待っている。
「ラストだカマせ行くぞお前ら!!!」

――I AM?」
「「「「『KILLER MACHINE』!!!」」」

――四人が一斉に飛び出した。


「食らいやがれッ!」
最高速で滑空し、シグキンが先陣を切る。間合いを詰め、容赦なく首を狙う一閃。ガン!と刃こぼれしそうな鉄槌のカウンターに一歩飛び退き、入れ替わるはJack。――ヴィジョンには既に突入済みだ。
――我の事を忘れたか?」
高速八連打からの強烈なアッパーカット。身体で受け止めてから最後だけは仰け反ってかわし――シュミタロウが顔を上げた先には、飛び上がったマリキンの影。
「手抜きすっかよッ!」
瞬時に円形に展開されたカードが一点に収束する。着弾前にJackの姿は消え、ザァッ!と後方のバチキンの横へ着地。直後、巻き上がる土埃がシュミタロウを覆い隠す。

……我巻き込む前提ぢゃなかったアレ?」
「かわすだろって信頼バチな!」
冷や汗をかくJackを笑い、ジャキン!とバチキンはリロードしたガトリングを構える。
――私だってお前のスペックは信頼している。弾幕の中を駆けるくらい、出来るバチな?」
「フッ……愚問オブザイヤー。」

Jackの応えへ歯を剥き出して笑い、バチキンが高らかに吼えた。
「ケツの穴かっぽじって良く聞けェッ!!! バチキン様のお通りだァッ!!!」
両手から放たれるガトリングの猛射撃。
三人の連撃から体勢を立て直し、武器片手に駆け出したシュミタロウを、バチキンは容赦なく追撃する。
弾幕が上げる砂埃の中には二つの影。
上空を翔ぶシグキン、弾幕の中シュミタロウへ駆けるJack。そしてバチキンがコントロールした逃走経路の先――二人は全く同じタイミングでシュミタロウの眼前に姿を現した。

「外すかァ!!!」「フンッ!!!」
…………!」
読んでいたぞ、と言いたそうにシュミタロウが目を細める。そして体幹を無理やり使って急ブレーキし……鉄槌を振り抜いた。
ガァン!!! 鈍い音の後に、二人が宙を舞う。

「シグキンッ!」「Jack!」
周りの悲鳴。
しかし次の瞬間、皆の視線は宙を舞う鉄槌の先……シュミタロウの背後に集まった。
「ム……!?」
違和感にシュミタロウも振り向く。

そこには、浮き上がる鉄槌の上に降り立った道化・マリキン。
……チッ、見つかっちまったか。そんないい子にはプレゼント……だ!」

鉄槌の裏には貼り付けられた大量のカード。
マリキンが跳ぶや否やそれらは炸裂し、反転した大質量が持ち主へと襲いかかった。

反動をバック転に変え、スタッとマリキンはバチキンの元へ着地する。
「アイツらは?」
「無事バチ。」
過熱したガトリングをバチキンはリロードした。

ギリギリ得物で受け流せたか、回転していたシグキンが上空で再び翼を展開。
Jackは地面に叩きつけられたように見えたが、数回跳ねて体勢を立て直し、無事着地。

「おーおー、やる気だなJackの奴。」
「シグキンに負けたくないみたいバチな。」
「アイツらしいな、ッたく。」
笑いながら、マリキンは次のカードをシャッフルし始めた。


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――Jackは考える。
……しょーじき、手合わせとかどーでもよかったよな。我最強なので? 下々がやりたいなら? 手伝うけど? みたいな?)
……でもなぁ……。」

……Jackは思い出す。
ほんの少し前、空を灼いた五発の紅い閃光。
身体すら犠牲にした、あづキンの必殺技。
――知らず知らずに見せつけられた、『強さ』の証明。
(共に居るだけで良いと言ったのに、いつの間にかあれくらい頑張っていてなぁ……仕方のない奴だ……。)

「だが、しかと我は受け取ったぞ。……『それでも強くなりたかった』って、あづの願いをな。」

――Jackは加速する。
自分は最強だと自負している。しかし『肉体』の物理的な限界は理解している。『拳』の衝撃の上限だって分かっている。大変全く不本意なことにシグキンのような更なるチカラも悔しいがない。どんなに努力しても……己は『矢』の速度に届かない。

それでも。この一時だけ。
Jackは、『矢』になろうとした。

(ならばこの場で我もあづと同じ願いを目指す。……あづと同じように……この身体を賭けてな!)

……ヴィジョン!!!」

――更に一段深い集中。
流れる時間が遅くなる錯覚を覚える。指先まで感覚が研ぎ澄まされていく。既に軋みを覚える身体の限界を測る。視界が狭まる。
Jackの スコープが、シュミタロウを――捉えた。


……!?」

Jackの異変、そしてその先に待ち受ける代償に真っ先に気づいたのはシグキンだった。
「何してんだあの馬鹿!!!」
「シグキン! どうしたバチ!?」
シグキンの動揺にバチキンが気づく。

「バチキンJack止めろッ! シュミタロウぶっ飛ばすでもいい! 俺じゃ間に合わねえ!!!」
「!?」
Jackを何故、シグキンの方が素早いのに何故、と動揺と共にバチキンがレーザー砲を構えた刹那――Jackが消えた。
それはバチキンの知るJackのスペックでは出せないはずの速度で。

「バチィ!?!?」
――馬ッッッ鹿野郎ッ!!!」
Jackが何をしでかしたか遅れて気づいたマリキンが叫んだ。
「撃てッ!!! 回復は後で俺がしてやる!!!」
「でも!!」
「でもじゃねーーー!!!」

――アイツが『ブッ壊れる』よりマシだッ!!!」
……!!!」

ついにバチキンも悟った。もうJackはシグキンとラストヒットを争うなんて考えていない。今、走り出したのは、放たれたのは、ただシュミタロウを倒す事しか考えていない、この一瞬だけの流星だ。だが、それが燃え尽きる前に止められれば……
――間に合ええええええ!!!」
二筋のレーザーキャノンがバチキンから放たれる。

迫るその光の意図に、Jackは気づいていた。
しかし、狙いはシュミタロウから外さなかった。
正拳突きの構えで拳を握り込む。地面を蹴る脚はもう限界に近い。しかし、この型はもう一段踏み込まないと真の威力は発揮できない。

――あ。耐えられないじゃんコレ。ゎら。

(あづもこんな感じだったんかなぁ。やってみると分かるわ〜、うんうん。ということで後でお説教だゾ☆)
過集中が生み出したスローモーションの中で、Jackは呑気に自分が願いの先に自壊することを悟っていた。
(イェーイ、あづ見てるゥ〜!? うーん、我もこれ終わったらしばらく動ける気がしないし、見てなさそ〜。ま、そうだとしても……我はあづの気持ち、ちゃーんと分かったぞ。)
Jackは、シュミタロウに接敵する。


……だから次は共に、強くなろうなぁ。)
懐へ、弓のように引き絞られた身体から、正拳が放たれる。

――サヨナラだ。」
己を犠牲にした一打はシュミタロウをブッ飛ばし……集中と体力の限界に倒れたJackの背中を、レーザーが掠めて行った。


「Jack……!!!」
バチキンがレーザー砲を取り落とす。
……悪いのはJackだ、気にすんなバチキン。」
バチキンの肩に手を置きながらも、マリキンは苛立ったように手の内でカードを回している。
「『誰』に引っ張られたんだか知らねェが、慣れない事すっからだ、バーカ。……英雄 しゅじんこう一瞬任せるくらいには、十分お前は強えーんだよ。」
…………。」
バチキンが無言でガトリングを装備する。サングラス越しでも分かる鋭い眼光。そして、上空で渦巻く……闇のチカラ。

……どーやら、気分は同じみてーだな? 『お前ら』。」
…………あぁ。」
「そうみたいバチね……!」 
「ッたく、先に一人でドンパチやって気持ちよさそ〜にブッ倒れて……悲劇の英雄気取りか、Jack?」
マリキンの声でわずかに意識が戻ったのか、ゆっくりとJackは仰向けになり……三人へ親指を立てた。

――ハッ!」

マリキンは一嗤いと共に無数のカードを巻き上げ、秘めた魔力を放出する。
「いいかJack! 英雄っつーのはな……最後まで立って、ゲームクリア出来たヤツの事を言うんだよ!!!」
魔力の奔流にカードが渦巻き――掲げられた左手が、青緑に輝く一枚を掴み取る。
「そこでよーく見てろよ……本当の英雄ってヤツを!!!」

シグキンが解き放った漆黒のエネルギーが、空を一瞬夜に変える。
「お前の尻拭いってのだけは癪だが……せっかくの舞台だ! 俺が代わりに最後まで楽しんでやる!!!」
黒い羽根を開き、中からひどく愉しそうな笑顔が現れる。
「来いよシュミタロウッ! 間近で見せてやるよ……俺の暗黒世界を!!!」

バチキンが重武装を天にそびえるように展開し、両手のガトリングをリロードする。
「私にだってな……! 自分の強さを見せつけてやりたい時があるんだバチ!!!」
ピンク色の眼光が線を描き、狙いを一つに定める。
「最強の私は、ここで負けるのなんか……お断りだァ!」

Jackの一撃に沈んでいたシュミタロウが立ち上がり、鉄槌を引き寄せ構え直す。
……ここまで心躍る闘争は久々だったが、まだ楽しめるらしい。」
漆黒の双貌が、これまでになく楽しそうに細められる。
「せっかくだ、最後まで味わせてくれ。」


――最後の衝突が、地面を震わせた。



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(Act3へ続く)