enachiot
2026-05-09 12:29:26
11179文字
Public MARIKINonline4二次創作
 

【MO4】ボコボコパーティ! Act1(初版)/ BOKOBOKO PARRY! Act1

「【MO4】ボコボコパーティ! Act1/ BOKOBOKO PARRY! Act1」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27679138 について大幅改稿をいたしましたが、ありがたいことにたくさんの方に読んでいただけましたため、初版をこちらにアーカイブしました。
お読みいただいた皆さん、ありがとうございました!


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「当方から参るッ!」
タンッ、と地面を蹴りカシキンが接敵する。そのままレイピアで一閃……と見せかけ、シュミタロウの肩を蹴って背後から斬撃を何発も飛ばす。
鎖で捌かれるが、それは想定内。そして、カシキンは予想が当たったと内心喜んだ。

……シュミタロウ自体のスペックは跳ね上がっているが、武器自体の特性は無視できていない!)

鎖でリーチを伸ばして攻撃すれば次に重い鉄槌をぶつけるまでは猶予が生まれ、逆に鉄槌での連撃を狙えば鎖を短く持つ必要がありリーチは狭めざるを得ない。

(そして今の当方の役割は……荒川復帰までの時間稼ぎ。ならば……!)
カシキンは……煽るように目を歪めて言い放った。

――当方には追いつけないか? シュミタロウ。」
…………!!」

デバフで冴えない脳内に挑発がストレートに入り、シュミタロウの顔に影が落ちる。……かかった。
鉄槌連撃での近接狙いの構えで、シュミタロウがカシキンに跳んだ。

「あそこまで無茶しろって言ってねェんだけどな!?」
「今のうちだオツキン!」
「わァってるっつーのッ!」
カシキンが砂埃と轟音に包まれるのを横目に、オツキンが荒川を担ぎ上げる。少し離れた位置で待機していたフク郎は、既に蘇生の準備を始めていた。……しかし、荒川のダメージもそれなりだ。いくら荒川が脆いとはいえ、ただ叩きつけられただけだというのに。ゾッと悪寒がオツキンの背に走る。

「どんぐらいかかる!?」
……なるべく急ぎます!」
「ッ、そっちは任せたからなッ!」
フク郎が詠唱を始める横で、オツキンはガチャン!と錬成機関を展開する。
「もう少し耐えろよカシキン……!」
……蒸気を上げてマザイの合成が始まる。


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鉄槌の直撃だけは最低限かわし、ある程度のダメージは身体で受け止めながら、わずかな隙に斬撃を返す。シュミタロウは相当冷静さを欠いていたようだが……攻防の中、カシキンは冷や汗をかく。
少しずつ、『当てて来ている』。デバフが……切れつつある。

(オツキン達は……まだか!?)
他所見の余裕などない。既に蓄積した傷はそれなりで、一発直撃を受けたら自分も荒川コースだろう。
こちらも大技を撃つか? ……いや、それは愚策だ。当初の段取りと異なる上、オツキン達の状況が分からない以上、「自分を狙う」以外の選択肢をシュミタロウへ与えたくない。……ならば。

――見切れるか!!!」

踏めるギリギリのリスクを踏んで、間隙にカシキンは光を纏わせた真っ直ぐな連撃をシュミタロウに撃ち込んだ。
カシキンの動きが変わったことに反応し、一歩シュミタロウが後退する。ほんの少しだけの自由時間。最低限の短さで唱えられる回復魔法を自身に叩き込み、再び斬撃を飛ばして挑発する。
――まだやれる。これなら直撃を一発耐えられる。
斬撃は変わらずいなされるが……シュミタロウのターゲットはカシキンのままだ。

「さあ来いッ!」
カシキンが振り下ろされる鉄槌に備えたとき――シュミタロウの動きも、変わった。
カシキンを見据えたまま、大蛇のように鎖が後方にしなる。先端の鉄槌が浮き上がる。そしてグッとシュミタロウの手に力が入り……
遠心力でとぐろを巻いた『鎖』がカシキンを取り囲んだ。

――『夢幻神威』!!!」
カシキンは飛び上がろうとするが。

「追いついたぞ。」

鎖を締め上げカシキンを捕らえた勢いそのまま、シュミタロウは得物を振り抜き、地面を狙う。いや、軌道的に……狙いは後ろの二人だ。

……最悪だ。カシキンは絶望する。

(すまない……ッ!)
衝突の寸前、カシキンは眼を固く閉じ、己の非力を嘆いた。
全身に激痛が走る。意識がブラックアウトする。


……はずだった。

強烈なマザイの匂い。自分のものよりはるかに強力な回復魔法のオーラ。そして……弾けるスパーク音。

「オラオラ食らえ食らえ!!!」
「遅れは取りません!!!」
「お邪魔しまーす。」
叩きつけの反動で浮いた無防備なシュミタロウへ、鉤爪と試験管の連撃が入るのが見える。鎖の束縛が緩む。傷が癒えていく。……動ける!

「すまない、助かった!」
「煽りすぎだドアホ!!! 騎士道どこいったァ!!!」
着地したカシキンにオツキンが怒鳴りつけた。これも騎士道の一端なのだが……と返そうとしたが、そんな余裕は無さそうだ。
ドスン!とシュミタロウが着地する。第一ラウンド開始時を彷彿とさせる正対。

「まだギリ本領出せてなさそうだな……!」
「これはウイエ様に良い所を見せるチャンス……!」
「どこまで斬っていいっすか?」
「当然、全力だろう。」
「はっ、なに勝手に答えてんだカシキン? このチームのブレーンがどいつか忘れたか?」
「ム……?」

――最高に悪ガキじみた、オツキンの笑み。


「困ったら俺に『何でも聞いてください Please ask anything』ってなッ!!!」


錬成が終わった試験管が展開される。吹き出す赤黒いソレがもたらす高揚を、怒りを、力を、皆がよく知っている。

「オラオラ全員飛ばせェッ!!! ビッてんじゃねーぞ!!!」
オツキンの掛け声に、周囲の歓声に、覚醒した三人は弾けるように飛び出した。


「もう袋のネズミです! シュミタロウさん!」
バラバラとめくれる魔導書のページ、迸る強烈な魔力がシュミタロウの身体を襲う。ガキン、と装甲が剥がされるような感覚。……かわせなかったか、とシュミタロウは顔をしかめる。普段、その魔法がどれだけ強力かを隣でよく知っている身として。
そして間髪入れずに、蒼い雷光が漆黒の目を焼く。

「!!!」
……今度は、動かないでくださいね?」
鎖のガードも許さないスピード。荒川の鉤爪が無防備になった身体へ襲いかかる。青白い光の軌跡が重なり、シュミタロウの目前を覆う。
そして突如、金色の光が電撃の覆いを一閃し……
――当方の目を見ろ。」
その向こうには、瞳を輝かせた、カシキンだ。

「先ほどはぬかったが……今度こそ、この剣で――!」
……ッ!」
痺れる腕で鉄槌を引き寄せ動きを阻もうとするが……間に合わない。

――正を顕すッ!!!」
先ほど以上の光を纏ったレイピアの斬撃が振り注ぎ……ついにシュミタロウは武器を手放した。

「今だオツキン!」
「任せやがれッ!!!」

……オツキンは自分の武器 マザイをよく理解している。皆にはエクレアのヤクと同じくらい危険視されているが、実は真の効き目を発揮させるためには『組み合わせ チェイン』が肝心だ。むしろ一発であれだけ効果が出るヤクの方が、オツキンからすれば恐ろしい。
だから一発でも自分の攻撃をシュミタロウに防がれたらダメージはガクンと下がるし……きっとこの戦いでは、再調合 リトライなんてものは許されない。


――だから俺は、シュミタロウが防御できない瞬間に賭ける。』
『それを作るための支援は全力でしてやるから……お前ら頼んだぜ?』


――――ッハハハハハハ!!!」
最初こそ計画は狂ったが、あまりにーーあまりに理想的な展開。眼前の光景を導けた仲間と、自分への称賛の高笑いをオツキンは止められない。
「計算通り、ってね!!!」
高揚のまま、灼熱のマザイ入りのフラスコを何個も何個も投げつける。黒煙を上げるシュミタロウだが、ハイになったオツキンに容赦の心はない。

「なにヘバってんだシュミタロウ! ただじゃ済まねェぞッ!!!」
包囲するように試験管を放ち、指を鳴らして起爆。そして爆風に乗ったまま背中から巨大フラスコを取り出し――

「ぶっカマすぜッ!!!」
化学物質製の彗星がシュミタロウの脳天を直撃し、爆炎が上がった。


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固唾を呑んで見守っていた皆から歓声が上がる。

「やったか!?!?!?!?」
「バッッッカ太陽フラグ立てるんじゃねェ!!!」
マリキンが太陽に怒鳴る。
「つーかお前らとっとと準備しろッ! 猶予ねーぞ!」
「ん? 我々の出番はまだではないのかな? ……ほら、フク郎とカシキンが追撃しようとしているじゃないか。」
ウイエが戦闘風景をスケッチしていたペンで刺した先には、爆炎から何とか抜け出しべちゃりと着地するオツキンと、軽やかに着地するカシキンと荒川、そして巨大な魔法陣を展開するフク郎。

……終わりにしましょう!」
「ああ、仕舞いだ!」
フク郎の魔法陣とカシキンの瞳が輝き出す。

「エンデ――」「サルバト――

…………!」
フサキンが立ち上がり刀に手をかける。
「お前も何してんだ!? 介入はルール違反だぞ!」
「マリキンが言ってる通りだよ。 ……もう終わるよ、このラウンドは!」
「はぁ!?」
あづキンが理由を問いただそうとした時――これまでで一番大きい地鳴りが響き渡った。
「!?!?」
そして気づく。……フク郎とカシキンの詠唱が最後まで聞こえていない。

あづキンは恐る恐る視線を戦場へ向ける。
そこには……巨大な鉄槌に吹き飛ばされる四人と、黒煙を上げながらなお立っている、巨体。


……燃えてきたな。」


動かなくなった四人を前に呟く声は戦意を隠しきれておらず、残る三チームに緊張が走る。

「嘘だろ……?」
「フク郎……!」
動揺する二人を他所に、フサキンはシュミタロウを見据えている。
……マリキンがシュミタロウを『レイドボス』って例えたのさ、きっと『これ』が真っ先によぎったからだと思うんだよね。」
……どういうことだよ。」
チャキ、とフサキンが鯉口を鳴らす。


――ソシャゲの定番なんだよね。レイド戦で、ボスが途中で『覚醒』するの。」


――第三ラウンドが、始まる。


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(Act2へつづく)