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冥土うさ
2026-05-07 11:01:46
Public
光鱗の逃亡者
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讃歌
FF14二次創作 / ラザハンで催される“婚礼の儀”について
ヴリ×光♀(よそ)、ミド×主(うち)前提
お誕生日プレゼント
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必要な薬品を手に入れるために訪れたラザハンの街中は、普段の香辛料や独特な布材、そして薬品の香りのほかに、甘やかな花の香りが漂っていた。すれ違う人々の顔は紅潮し、皆が笑顔で高揚した様子だ。
色鮮やかな街並みはいつもながら、それに加えて花やランタンなどの飾りつけもあり普段との違いを印象付ける。きょろきょろと辺りを見回すこちらに気づいて、年配の女性がゆっくりと杖をついて近寄ってきた。
「おや、観光の人かい?」
「
……
ええ、そんなものです。今日はお祭りですか?」
「そうなんだよ! 今日は太守様の婚礼の儀があってね!」
「“こんれいのぎ”?」
途端に、女性は目元まで真っ赤に染めて嬉しそうに話し始めた。太守様とはこのラザハンの街を作り、守ってくださる大きな竜のことで、街の危機を何度も救ってくださった偉大で優しいお方であると────民は皆、その太守様を敬うとともに、とても慕っている。そんな様子がありありと伺えた。
「太守様にも特別なお方がいてね。仲睦まじい姿を何度か見かけていたが
……
この度めでたく
夫婦
めおと
になられるのさ!」
「ほう。
……
なるほど、“婚礼”ですか。」
「みんなお祭り騒ぎだよ。ほれ、あんたも最初で最後になるだろうめでたいお祭りに参加していきな!」
女性は嬉々としてこちらの手に一輪の花を押し付けた。これを一人一輪手に参列し、最後に夫婦となる二人へ放り投げるのだという。
「そうか、ヴリトラがねぇ
……
」
「え? なんだって?」
その可憐な花を見つめながら呟いた言葉は、女性には聞き取れなかったらしい。怪訝そうに眉をひそめたその姿に、しかし言葉を繰り返すことなくそっと微笑みかける。
その時、視界を赤い翼が横切った。
「えっ、アジュダヤ様!?」
「やぁ、出迎えか?」
「えっ!?」
肩に降り立ったその小さな赤き翼は、ラザハン太守であるヴリトラの姉であり七大天竜の一翼、アジュダヤだった。もちろん、ラザハンの民はその小竜の正体を知っている。気安い様子で彼女が止まり木にした観光客を、女性は驚きとともに改めて見つめた。
優しく微笑むその姿は、街の外からやってくる他の観光客と変わらない出立ちで、特別な印象はなにも受けない。しかし、微笑みとともに細められたその不思議な色合いの瞳が、見つめているとなにかいけないものを見ているような、深淵を覗くような気持ちになる。ともすれば、自分の内心を覗かれるような錯覚を起こし、少し心臓が跳ねたようだった。
「説明をありがとう。あとは彼女に案内を頼むよ。」
「あ、ああ、そうかい
……
?」
「クルルル
……
」
気後れした女性は、その言葉に探りを入れることも、疑問を投げかけることもできず、見送るしかなかったようだった。そんな女性を気にすることもなく、マイペースにもアジュダヤは嬉しそうに頬ずりをしていた。
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