usagipai
2026-04-29 21:27:31
5055文字
Public Spera Symphonia
 

ティタノクス


神代大戦記 ティタノクスの発端(記録文)

神々の間に最初の対立が生じたのは、“最高神”という存在を誰に定めるかという議題によるものである。これは単なる地位の問題ではなく、世界の在り方そのもの――すなわち、弱きものを残し循環を重んじるか、あるいは強きもののみを選別し進化を促すかという根本思想の衝突であった。

この対立において、ヴァーリーは選別という思想を持ちながらも特定の陣営に属さず、中立の立場を保っていた。一方でジュピターおよびゼウスは、調和と共存を重視する立場からこれに対抗し、神々は次第に思想ごとに派閥を形成していった。

事態の収束を図るため、神々は一切の武力と干渉を禁じた“神聖裁定の場”を設け、そこで最終的な決定を下すこととした。この場は絶対的な均衡の上に成り立つものであり、本来いかなる存在によっても侵されることのない領域であった。

しかし裁定の最中、ヴァーリーの派閥に属する下位種族の一体が禁忌を行使するという事態が発生する。その禁忌は、存在の価値を強制的に選別し、結果を先に確定させるというものであり、神の権能を逸脱し世界の理へ直接干渉する極めて重大な違反であった。

この行為は、ヴァーリーを“最高神”として正当化することを目的としたものであり、選別の正しさを実証しようとした結果であったと記録されている。しかしその影響は大きく、時間の不安定化、存在の歪曲、さらには神聖裁定の場そのものの侵食を引き起こし、絶対であったはずの裁定機構は機能を喪失した。

これにより議論による決着は不可能となり、神々は責任の所在を問うこととなる。禁忌を実行した存在はヴァーリーの派閥に属していたことから、直接の実行者のみならず、その思想および統制の責任者としてヴァーリーにも責任が及ぶと判断された。

最終的に神々は、世界の理を乱した責任を問う形でヴァーリーの処刑を決定する。この裁定に対し、ヴァーリー側の勢力は不当な裁きであるとして強く反発し、ジュピターおよびゼウス側は世界の修復と秩序維持のために必要な判断であると主張した。

この時点で神々の間における均衡は完全に崩壊し、もはや対話による解決は不可能となる。両陣営はそれぞれの正当性を掲げて武力行使に踏み切り、ここに神々による全面戦争が勃発した。

この一連の出来事は、後に“ティタノクス”と総称される神代大戦の発端として記録されている