宝箱から溢れる追懐

MHRウ教×ハ♀。相思相愛。
ウ視点。

久しぶりの自宅掃除中に、宝物を見つけたウ教。



(……ありがとう、愛弟子……いや……愛弟子、よりも…………)

胸の奥で久しぶりに、あの子の名前を紡ぐ。
いつかしっかり、このことのお礼を伝えられたらと強く思った。

脳裏で記憶の走馬灯が鮮やかに巡る中、俺はすっかり色褪せた満開のポイントカードを見つめながら、デンコウとライゴウに見守られる中で、目尻を下げていた。

「幼い愛弟子と、あの子と、あの子のお店のおかげで、俺は……今の俺になるための礎を築けたような、そんな気さえするんだ。この中に入ってるのはね、今もずっと変わらないあの子のくれた幸せであり、希望なんだよ」
……何か、聞き入っちゃったニャ。なるほどニャ。すごく大切なものニャね!」

応えてくれたデンコウの浅緑色あさみどりいろの双眸が、湖面が震えるように微かに潤んでいた気がする。ライゴウも「くううん……」と万感の声で、小さく鳴いてくれた。

彼らの様子に、俺の胸や目頭まで熱くなった。長い昔話を聞き流すことなく、我が事のように向き合ってくれるオトモたちの優しさと誠意がとても嬉しく、ありがたい。

不意に下を向いたデンコウが、ふるふると何度か顔を横に振ってから、改めて俺の顔を見やった。

「ご主人! これからもその宝物、大事にしなきゃニャ! しまう場所は綺麗にしておかなきゃニャ!」
「うんっ! 本当にそうだね! よおし、整理整頓とお掃除頑張るぞぉ!」

すっかりオトモたちに背を押してもらうような形で、俺はますます意欲を燃え上がらせる。膝の上の木箱の中にまたポイントカードをそっと入れて、ゆっくりと、箱の蓋を閉めた。

(……あの日のキミが、俺を師と慕い、我が愛弟子となってくれるとは……)

両手でそっと畳に置いた宝箱を、俺は無意識に目で追ってしまっていた。

時を経て思い出と共に風合いを増した、銀煤竹色ぎんすすたけいろの箱。
俺自身の心境の変化や、過ごしてきた時の長さと厚みを感じずにいられない色。

先ほどしまったばかりの箱の中身たちもそうだったが、くすんだ色の木箱さえ、この目にはとても美しく見えた。

(ふふっ、愛弟子よ……今や、我が愛しき人よ。人生とは、本当に……何があるか、分からないものだね)

ふと、考えてしまう。

あの時、キミがいなかったら。

そもそもキミと巡り会える人生ではなかったら、俺はどうなっていたのかと。どんな人間になっていたのかと。

今より良くなっているとは到底思えないことが、不思議だった。

想いを馳せながら目を閉じ、気合を入れて掃除を再開しようと、四つん這いになって戸棚の収納の中に頭を突っ込んだ刹那。

「教官! ウツシきょうかーん! いらっしゃいますかー!?」

@acadine