暴虐な軍国主義者の楠木武一等陸佐が恥をかく物語の通算124話目。今作は乃木大一等陸曹が主役の筈が楠木武は全く自重していない模様。あと性描写、残忍描写濃い目なので読むのは18歳以上の方限定。
若い女性を己の性欲、支配欲を満たす道具と見做す乃木だけに、陸上自衛官として勤務している時も自分より階級が下の自衛官を粗雑に扱い、特に同期入隊の
湊川護二等陸曹に対する嫌がらせはかなりのもの。
「青森だと
21歳の士長がホテルで、熊本だと
51歳の二曹が駐車場に停めた車ん中で、何か最近女ヤっちゃう自衛官多いよなぁ。湊川、非モテのお前もこういうことしないよう気を付けろよ。おっと、そもそもお前の場合間抜け面過ぎて一緒にホテルに行ける女がいないからその点は大丈夫か。」
「乃木、てめぇ!一曹になってから事あるごとに俺に嫌味言いやがって!」
「はぁ?俺はさぁ、同期のよしみでお前に注意を促しているのよ、わかる?おっと、同期の俺に階級で負けてるお前には難し過ぎたか。」
わざと湊川を怒らせて自分はヘラヘラ笑う乃木は本当に根性が汚い。ただ湊川も自分より階級が下の自衛官を粗雑に扱っている点は乃木と何一つ変わらないが。
ヘラヘラ笑う乃木を湊川が睨み付けていると、色の浅黒い中年男がやって来た。この中年男、
楠木武一等陸佐の口髭を生やし「軍人精神注入棒」と書かれた木製の棒を持つ姿は旧日本軍の将校を彷彿させる。
「乃木、湊川、また貴様ら喧嘩していたのか!同期の癖に仲が悪過ぎるぞ!戦国時代に駿河、遠江を統治していた戦国大名の今川氏は分国法の『今川仮名目録』を制定し、その第8条は喧嘩両成敗法として有名だ!わかるか!喧嘩をした者は両方とも成敗、即ち処刑しろということだ!要するに貴様らが今やっていることは打首ものということだぞ!よく覚えておけ!」
中世における喧嘩は刀、弓矢等武器を使い双方に親類、演者が加担する集団的な私的戦闘を指す(
参考)。乃木の嫌がらせに湊川が怒っているのを受け喧嘩両成敗を持ち出すなどお門違いもいいところ。要するに歴史通ぶって知ったかぶりをしでかした楠木は登場して早々に恥をかいたということ。
「楠木一佐、これは喧嘩などではありません!最近女ヤっちゃう自衛官が多いので湊川に注意を促しただけです!俺の方が湊川より階級上なので指導ですよ、指導。」
「今の乃木のは指導なんかじゃありません!ネチネチと嫌味言ってきたんですよ!」
部下2人に言い寄られた楠木は眉間に皺を寄せ、乃木、湊川それぞれに精神注入棒の一撃をお見舞いした。この一等陸佐は軍国主義、国粋主義を強く信奉し、何かにつけて部下に暴力を振るうのも旧日本軍の上官そのもの。
「乃木!湊川!この楠木が直々に軍人精神を注入してやったのだから少しは真人間に近付けた筈!この楠木ほど部下を大切にする上官は中々おらんぞ!喧嘩など止めてこの楠木に少しでも近付くため汗をかけ!もっとも生まれた時点で漢として持つべきもの全てを持っていたこの楠木に近付くのは大変だがな!どうだ!この楠木のありがたぁいお言葉を聞けて俺に感謝したくなっただろ!グハハハハ!」
楠木の下品な笑い声はとにかくやかましい。本来なら湊川を侮辱していた乃木を叱るべきなのに2人に暴力を振るった楠木は上官の資質に乏しく、こんなのが一等陸佐にまで昇格し威張り散らしている自衛隊が組織構造自体に無視出来ない重大な問題を抱えているのは自明。それにしても上官の資質には乏しい癖に主役の乃木を圧倒する楠木の存在感の凄まじさときたら。
数日後、学生時代の友人の結婚式に出席するため会場に出向いた乃木を待っていたのは受付での門前払いである。
「どういうことだ!?ちゃんと招待状はここにある!俺を中に入れろ!」
「申し訳ありません、その招待状は無効になっております。詳細は先日メールによりお伝え致しました。こちらは当ホテルからのお気持ちでございます。どうか本日はお引き取りを。」
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