保科
2026-03-17 17:59:54
7275文字
Public 超かぐや姫!
 

忠犬オタ公、会議の音頭を取る

10年後のライブに向けての会議の話 オタ公がヤチヨのお友達だったら?の巻 うわ!捏造しかない!

2ページ目を追加しました ヤチヨのお友達してるオタ公の幻覚

忠犬オタ公、会議の音頭を取る


――というわけでね、今回も私、忠犬オタ公が、かぐやいろPチャンネルの新たなる門出を祝わせていただきますよ!」
ツクヨミ内、運営関係者用のプライベートエリアにて。和風の応接室の卓を囲うメンバーの一人、パン、と手を鳴らしてニコニコ笑顔のオタ公に、向かいに腰掛けた彩葉はしずしずと頭を下げる。実に堂に入った社会人の挙動である。
「いやも、本ッ〜〜当に、毎度毎度すみません……
この前のヤチヨとのライブでもいろいろ手を回していただいているのに、こんなややこしい依頼まで運営側やってもらって……!」
「なんの!というか、あれについては、長く世話になってるヤチヨたっての願いって面もありますので。
それに私も、かれこれ10年来のお二人のファンですから。こうして携われるってのは役得ってもンですよ。今世でまたお二人の活躍を見られるなんて、もう、いやー、……涙止まらんすわ……っ」
「はは、そう言ってもらえると助かります」
「ええ!ですのでそう畏まらず!」
疲れた笑みの彩葉と涙目のオタ公が年嵩が滲むあれそれな会話を交わすのをさておき。
彩葉の隣、かぐやがペンを唇と鼻のあいだに挟んだまま、書類を睨んでむむむ、と唸る。
「んー……ねえねえねえオタ公〜!」
「はいよ?何かな〜かぐやちゃん」
「これがさ、企画書の全量なんだよね?
かぐや復活記念祭?のさぁ」
「そう!三日三晩……いやさ七日かけてヤチヨと練った物ですとも」
「そのと〜り!」
ウンウン、と感慨深く頷くオタ公の後ろに、ポン、と現れるのは、幾分サイズの小さいミニヤチヨだ。所用を済ませたら遅れて来るね〜と言っていたのを思い出し、労いを兼ねつつオタ公は振り向く。
「お、ヤチヨ!お疲れ」
「どもども〜、進行雨アラ!
――そう!オタ公と共に、練りに練ったよ〜イッヒッヒ、練れば練るほど素敵なイベント〜!」
「そのネタいろP達には通じないっしょ……私もギリだからね……?」
「うっそ!」
オタ公のツッコミにガガン、と衝撃を受けるヤチヨとの気安いやり取りは、情報チャンネルでは見慣れたものとはいえ。いーなあ、と密かに羨望のまなざしを送る彩葉の隣、かぐやがぴしっとまっすぐ手を挙げる。
「あ、ヤチヨも!丁度いい所に来た!」
「ほいほい!どしたのかぐや?」
「質問なんだけど。
――これさぁ、オタ公は一緒出ないの?」
「ゲホッ」
オタ公が噎せた。
かぐやの言葉に、ああ確かに、と、彩葉が手元の資料に再度目を落とす。
厚みに反して、要約できる企画の概要はシンプルだ。登壇するのは主にかぐや、彩葉、ヤチヨの3名に、縁あるゲストが何名か。トークパートでは基本ヤチヨがMCを回し、ライブパートでは3人が踊る――いや踊るってなんだよ。彩葉の引きつった口角によるこの点のツッコミは、まあ別途行うとして。
そして、企画を読む限り。このイベントにおけるオタ公は、最初から最後まで影ナレとして動くことが徹底されていて、壇上に上がることが全くないのだ。
どうもそれが予想だにしていない指摘だったのか、狼狽えたオタ公が「か、かぐやちゃ〜ん?何、言ってるのカナ?」と焦り気味に口にする。
「出ませんよ?私はね?ほら、別にレースするわけでもないっしょ。実況はお呼びじゃないってば」
「いやだってブラックオニキスとかさ〜、昔お世話になってた人皆呼ぶじゃん?ならオタ公も呼ばないと駄目だと思うけどな〜!かぐやだって企画でも配信でも世話になったし、かぐやがいない間もヤチヨも彩葉も世話なってるもんね?」
「お〜〜!かぁぐや〜〜いいこと言うねえ〜〜」
おおよしよし、とかぐやに抱きついたミニヤチヨが、そう!と大きな声で肯定する。
「このコってばさぁ、ヤッチョが企画立て中に何回もいっしょにやろーって声かけても『いやかぐやちゃん達の舞台に私は要らないっしょ』としか言わなくて!
ヨヨヨ、頑なに開かぬ天岩戸〜……舞い踊るヤチヨでは役が不足……ッ!」
「えー!何でよオタ公!酷い!かぐや達のこと好きじゃないの!?好きなら一緒にやろうよぉ!」
ばんばんばん、と机を叩くかぐやに身を乗り出され、うぉあ!?とオタ公が悲鳴を上げる。
「待った、それはかなり目の語弊があるって!?ハレの舞台に水をさせないって話でね?
いやちょ、いろPサマサマ……!」
焦った様子でオタ公がヘルプを求めるのに、やり取りを傍観していた彩葉は、え?と顔を上げて、少し考えて。
「そりゃ、オタ公さんが一緒に壇上上がってくれたら嬉しいですよ?」
「いやったっ!流石彩葉、欲しい言葉が的確ゥ!」
「何故だッ!?」
「え、疑問?
つ、ツクヨミの活動においては、かぐやの言う通りソロになってからも指折りお世話になってますし。
かぐやも懐いてるしヤチヨとも仲良しで、私も大変助けられてて……うん、上がってもらって特に問題はないよね?ヤチヨ」
「ないよ〜!」
「あるって大きな問題が!部外者だよ私は!単なる1ファンだからね!?」
――オ・タ・公・ク・ン〜?」
ぬらり。いつのまにやらかぐやの元を離れて忍び寄ったヤチヨが、悪い笑みを浮かべながらオタ公の背中に張り付いた。反論続きで息を荒げるオタ公が、謎の悪寒にヒィッと声を上げる。
――司会進行MC回し、それらもツクヨミにおける立派なライバー活動の一環でございますこと。
なんならヤチヨカップ優勝だって普段の活動だけで十分視野圏内だった人気者であるという自覚をヤッチョは常々持ってほしいと!ヤッチョ自ら散々キミに言い聞かせて!尚!その発言をするならば、看過いたしかねますなァ〜?」
「い〜やいやいや、ヤチヨ?
あのですね、百歩譲って?人気者……は、まあ、ウン、承諾したとてさ。
この場において部外者なのは間違いないじゃん!?」
ねえ!と、オタ公の必死な視線を受けて。
かぐやが首を傾げる。
「えー?オタ公ファンで友達で仲間じゃん?なしてそんなしどい事言うのさぁ?かぐやさみしーよ……?」
彩葉が瞬く。
「別に、内輪向けといえど私達だけの舞台というわけでもないし……まあ、かぐやもヤチヨもこう言ってますから、えと、……ダメ、ですかね?」
のしかかるようにしてオタ公の肩上に腕を伸ばしたミニヤチヨが、明るくピース。
「ね!と、いうわけで、二人もオッケー、ヤチヨもオッケー!
つまりまするは……デン!モ〜マンタイで御座います!」
「絶ッッッッ対有問題だってば炎上するから!!!!」
「オヨヨ〜!」
「えー粘るじゃんオタ公〜。
よっしゃ、ここはいっちょ、いろPの凶悪極まりない天然ジゴロ見せたりな!」
「はいはい、心当たりのない謎のスキル要求すんのやめて」
「え?ないの!?嘘!」
「ヤッチョは心配だよ……?」
「いろPまじか……
「なぜ私がおかしいみたいになる!?」

とまあ、続いた戯言は置いておいて――その後、ごねにごねたオタ公により緊急生配信で採決を取るに至り、ファン出演者満場一致の末トークパートで登壇する羽目になるのはまた別の話である。炎上なわけないのにねえ、はヤチヨ談。