柚子茶
2026-02-15 12:43:18
3190文字
Public 私とリオルシリーズ
 

私とリオルとときどき戦士

リノンとリオルの前に飛び出してきたワシボン。
「タブンネの里」で保護している野生ポケモンだけど、どうやらなかなかの問題児みたい。


「とーそーほんのう?」
「ワシボンという種は、たくさん戦って強くなる。そういう生態のポケモンです。他のポケモンよりも闘争本能が強い。……だから気をつけてあげなければいけないのですが。ううん、上手く行きませんねえ」
 あの子がバトルに積極的なのは、そういう性格というよりもそういうポケモンだからみたいです。
 それにしても、先生が困っているのはとってもレアかもしれません。問題児はたくさん見てきたけれど、タブンネに怒られても諦めない子は初めてです。 
「何を気をつけるんですか? あんなに元気なのに」
「元気に見えるだけで本当はそうではないんですよ。というのもですね、ああいう子は弱っているところを見せたがらないものです。強さが全てという世界で生きている子達は、弱いと判断されれば生き残れませんからね」 
 そういえば、あの時ワシボンは私たちの前に飛んでこないで落っこちてきました。とってもドジな子なのかなと思っていたけれど、あれはもしかして、治ってないから飛べなかったのかも。それならタブンネがあんなに怒ってたのも納得です。いたずらにも滅多に怒らないタブンネが怒るのは、怪我を放置したときや安静にしてないときと決まっているので。
「じっとしててくれないと、治るものも治らないんですけどねぇ。あの子は右翼の骨が折れてるんです。もしも、正しくない形でくっついてしまえば……
「しまえば?」
「あの子は飛べなくなってしまうかもしれません」
「ええっ!?」
「固定しようにも、マメパトと違って力が強いですからね。無理矢理取ってしまうんですよ。ああ、困ったなぁ」
 あんなにやる気満々で翼を広げていた子が飛べなくなるかもしれないなんて信じられません。でも、たくさん患者さんを診てきた先生が、こんなに暗い顔をして言うのだから、きっと本当にそうなってしまうのかもしれません。
 ワシボンとは今日初めて顔を合わせたけれど、タブンネの家でお手伝いするものとして、何より頑張って強くなろうとしているもの同士として見過ごせません。私とリオルは目を合わせると、どちらからともなくうなずきました。
「先生! ワシボンのことは私たちにまかせてください!」