蒼翠
2026-01-17 13:37:09
22015文字
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🎈🌟同棲パロ 第1話(続きはpixiv🔞)

🎈2026/2/22 完結し、pixivへ投稿しました🌟
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27352374
完成版はR-18作品です。全年齢で読める範囲として、第1話はここで公開のまま残します🙇‍♀️

全年齢。第2話以降はR-18指定となります。
類司、同棲パロ。
二人の好感度ゼロ、ノンケから始まる転がり込み型同棲話。彼女の浮気現場に遭遇&高熱を出し倒れていた司、を拾ってしまった類。ラストはハピエン。
⚠️類司、年齢変更(成年済社会人)、パロ、同棲、若干のモブ女要素(描写なし)、冒頭に司の体調不良描写


 『期間限定、短期間』が、具体的に何日を指すのか指定がなかったのをいいことに、オレはズルズルと神代の家に居着いていた。追い出されないうちはまだ大丈夫だろう。だからこそ、家のことは抜かりなくこなし、かつ邪魔にならないように細心の注意を払っている。

 元カノからの返事があった。自分も部屋を借りるから、もう解約してもいいというもの。オレ一人で住むには広く、何より嫌な記憶と結びついた部屋では暮らしたくない。来月退去の手続きをして、それぞれの荷物を引き取り、不要な家具や食器はリサイクルに出した。
 調理器具を大量に回収出来たのは嬉しい。ゴッソリ持ち込んで「家探す気ある?」と神代に呆れた顔をされたが、以前ほどの冷ややかさはなかったのでホッとした。きっとオレの料理を食い続けた結果、判断が緩んだに違いない。
 これで正真正銘、帰る家がなくなった。
 そう言ったら「君、物件探しは進めてよ」と釘を刺された。期間限定は有効だったらしい。



 神代は早朝に帰宅すると、そのまま風呂に直行してシャワーを浴びる。寝るのはいつもリビングのソファ。ベッドにもなるそれは座面が広く「だから窮屈ではない」と言い張っているが、背もたれを倒さなければそれはただのソファでしかなくやっぱり窮屈だろうと思う。
 オレに気を遣ってそう言っているのではないか、と半信半疑だった。だがある時、寝室の床に山積みになっていた服を片付けようとして
「あの日、君を寝かせるために上に乗っていた服を降ろしたんだよ」
 と不服そうに主張する姿を見て、本当にベッドを使っていなかったのだと確信した。
 聞くところによると、高校時代からソファで寝る習慣が染み付いているらしく、場合によっては机に突っ伏したまま寝ていたと言う。絶句した。オレの知っている睡眠環境とは随分違う。その分授業中に寝ている事もあったそうだが、成績は常にぶっち切りのトップだったと聞き、神様は不公平だと思った。



 掃除や片付けをしていると、時々目につくものがある。
 高そうな贈り物。ブランド物らしい箱や、神代の趣味とは言い難い装飾品。特に身に付けるものが多いように思う。神代はそれらを気にも留めていない様子で放り出している。開封すらされていないものもあり、見つけては部屋の隅にまとめて並べている。
 相変わらず金への執着も薄い。無駄遣いをするというより、興味がなさそうに見える。

 シフトのある夜の仕事、高級マンション、高価な贈り物。この状況と生活リズムから導かれる答えは、おそらく女性に貢がれる系の仕事。シャワーに直行することとも辻褄は合う。強く酒の匂いをさせていることもあるからほぼ確定だろう。
 あまり詮索することでもないし、聞かないようにしている。でも、身体には気をつけて欲しいと思う。



 ある夜。
 ガタン、という大きな物音で目が覚めた。時計を見ると、夜明け前の時刻。寝室の外から聞こえる、騒々しい音。帰宅した神代か?
 それにしてはあまりに物音が多い。
 ベッドから身を起こし、様子を見に行こうとしたらドアが開いた。良かった、神代だった。ドアの枠に片手を付き、ぐらつく身体を支えている。珍しい、酔っている?
「お帰り。……大丈夫か?」
「平気」
 平気そうには見えない。ベッドから降りて項垂れている神代のそばへ向かう。派手に酔っているなら介抱が必要だろう。支えようと手を差し出したら、パシッと払われた。
「触らないで」
 神代は鋭く言い放ち、くるりと背を向け、ふらつきながら浴室へ消えていった。オレは立ちすくみ、後ろ姿を言葉もなく見送る。

 何だったんだ。わざわざ寝室を開けるとか、ここへ来て初めてだ。酒の臭いはしたが、そこまでの強さではなかった。泥酔には見えなかった。わけがわからない。ドアを閉めベッドに戻る。
 目が冴えてしまった。起きているには早く、出来ればもう一眠りしたい時間帯。しばらく寝返りを打ちながらぐずぐずと過ごし、はたと思い至る。
 ——まてよ、酔っているなら、浴室は危険じゃないか。やっぱり様子を見に行った方がいいな。

 布団から出ようとしたところで、寝室のドアが開いた。またか。
 さっきよりしっかりした足取りで、神代が部屋に入ってきた。下着一枚、タオルドライだけの髪はまだ濡れている。
「神代?」
……

 ——神代が、ベッドに乗り上げてきた。

「おい」
 掛け布団を捲り、オレの隣に潜り込む。
「ちょ、神代、どうした」
 慌てて距離を取りベッドから出ようとしたら、手首を掴まれた。グイと引かれ、シーツの上に倒れ込む。

「行かないで」

 背後から耳元に落ちた低い声。小さくても有無を言わせない圧。振り返ると当たりそうな距離にある神代の唇。
 あまりに近い。息がかかる。
 ギシリと固まったまま、目線だけを動かし声を絞り出す。
「っ、どうした、何かあったのか」
……キツイ、今日のは、無理」
 会話が成り立っていない。口を開こうとしたら神代が動いた。
 腕ごと背中から抱きかかえられて、両脚も長い脚で絡め取られて、ベッドの中央に引き寄せられた。一回り大きな体躯に背中からすっぽりと収まる形、背が、尻が、脚が、神代に密着している。
「お前、な、何して……
 抜け出そうともがいても、神代の腕は意外としっかりしていて重く、解けない。
 ぎゅ、と腕に力が込められた。
 背に直接、鼓動が伝わる。
……あったかい」
 そう言って、神代はオレの頸に顔を埋めた。鼻を擦り付けるような動きを数回した後、腕が僅かに緩んだ。
 徐々に深く、穏やかになっていく呼吸音。

 ……このまま寝る気か。

 おい。こら。
 オレは、どうしたらいいんだ。

 腕の中から抜けると起こしてしまいそうで、身動きが取れない。素肌が触れ合う足も腕も、ソワソワと落ち着かない。
 そうしている間にも、背後の呼吸が規則正しくなっていく。くそ、お前だけ寝やがって。

 オレの下敷きになっている腕だけは、何とか調整して位置をずらした。これは完全に腕枕だな。もう一本の腕はオレにガッチリ巻きついた当初のまま。
 結局この抱き枕にされた状態で、一睡もできず朝を迎えることになった。

 翌日理由を訊ねてみたが「寝ぼけてたのかな」と薄い笑顔ではぐらかされ、真相は教えてもらえなかった。
 何があったんだ。悩みがあるなら、聴くぐらいはしてやれるのに。
 せっかく一緒に暮らしているんだから、それくらいオレを使えばいいのに。

 頼ってくれてもいいのに。