ろころころ
2026-01-16 23:32:43
2709文字
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ごはん/pk擬 うちよそ





ファウストは単純に行き場の無い者が辿り着く場所という訳でもなかったが、他の派閥と繋がりが無く、戦力に数えられそうな人材は受け入れることもあった。
この少年も、その一人だと言える。

…………
「フロウさん」

動かなくなったモノなんて観察しても、何も面白くないですよ。そう言えば、少年はそれから目を離し、今度はリグの瞳をじっと見詰めた。

…………。」
「な、なに……なんですか」

彼が事を理解しているのかはわからない。ああそういえば、殺すのは良くないことなのだから、こんな風に堂々と見せるのは良くなかったかもしれない。
リグは今まで生きてきて、殺しは悪いと教わったことは無いのだが。そんなものは本でも読んでおけば自ずと理解出来るものだ。少なくとも自分とその他、どちらがおかしいかなんて。

「この世は弱肉強食です。私は彼らを殺しましたが、殺さなければ私やフロウさんが殺されるんです。痛いのは、嫌でしょう?」
………………

手を差し伸べれば、少年はその手を握った。
変わらぬ大きさの手。違うところがあるとすれば、きっと彼の手はまだ綺麗だ。それを穢すわけにはいかない。だから、温かさなんて感じなくても、手袋のままで構わない。

「リグ」
「なんですか」
「ごはん」
お家に着いてからですよ」

ああそう言えば。そんなこと逐一気にせずとも、彼はこの手で作った料理を、美味しそうに食べてくれるのだったか。リグにとってはどうでもよい夕食からだって、彼は喜びを得てくれる。

「フロウさん」
……?」
「貴方はまだ、間に合います。まだ温かさがわかる内に……手遅れになる前に、此処から離れて……………そうです。教会とか弟がいる孤児院とか!どうで

瞬間、尻尾にビリビリと激痛が走る。
強ばった身体を震わせながら、不自然な動きで恐る恐る背後を振り返る。

回り込んだ少年が、リグの尻尾の先に歯を立てて食い込ませていた。

「ちょ、ちょっと!何するんですか!?それ痛いからやめてって言いましたよね!」
………ごはん」
「私の尻尾はごはんじゃないって!何度も!言ってるじゃないですか!!!」
………………
「な、なんですかその目は

じっとリグを見詰める瞳は、言葉が無くともわかるくらい、明らかに不満を語りかけていた。
そんなに腹が減っているのか。拾ったばかりの頃はまさか彼がこんなにも、食事に対して反応を示すとは思ってもみなかったものだ。

………帰る」
………あーはいはい。わかりましたよ!お子ちゃまはさっさと帰ってご飯食べてクソして寝てください!それでいいで痛っ!ちょっ、尻尾やめて!!!」


リグはいつだって彼を此処から追い出そうとしている。していても、こうして彼がすぐに飯をせがみ出すのだから。不可抗力だ。

今夜もまた、同じ食卓を囲むことになるだろう。