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ろに
2026-01-12 17:25:52
5210文字
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スパゲティ・ソース・コード
文章:「今昔、未来の機械達」の後日談。おぼろげ街2丁目で活動する軍歌ムツの話。(過去のオンラインイベントにて無料配布していた小説の再掲)
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4
「
…
さて、サクッと用事を済ませちゃうか」
午後2時過ぎ。休日とあってそれなりに人が行き交っているスーパーには、ムツと同様買い出しを頼まれたであろうアンドロイドの姿も散見される。買い物カゴにじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、肉などを入れながら、ムツは夜語から渡された探知機による調査を手際よく行っていく。
店内を軽く一周して調査を行ったが、反応があった対象はいずれも形態や移動形式など、外見で判別可能なものが大多数を占めた。夜語所長が言うには、近頃はより人間に近いアンドロイドもぼちぼち出回り始めているという話だったが、まだこの時代の市井では浸透していないらしい。ムツは報告すべき情報を処理しながら、カレールゥが置かれているであろう通路に差しかかる。そのまま目的の商品が並ぶ棚へ進もうとしたとき、不意に懐の探知機から音が鳴った。
(
…
おや)
他人に気取られないよう周囲をそれとなく確認するが、通路には今しがたすれ違った成人男性と思しき黒っぽいジャケットを着た人物が一人、メモを片手に商品を吟味している他には誰も居ない。確認を終えたムツは報告書の処理タスクを中断し、少し離れた場所から男の様子を窺いながら、自身の視界を
熱感知
サーマル
に切り替えた。男の温度分布はおよそ人間のものと同じだが、腕部に関しては平均的な人間よりも高いようだ。
(
後から機械化した
サイボーグ
という可能性もあるけれど)
ムツは通常の視界に戻した後、一度カレールゥの棚に向かいながら、考えうる可能性を洗い出す。そうして、懐に忍ばせていた探知機を右の胸ポケットの中に移し、男の居る場所へ歩き出した。
「これと、これと
…
あと何が無いんだったかな
…
」
「そこのお兄さん」
「
…
ああ、すみません長居して」
スパイスの棚とメモ用紙を交互に見ていた男は、こちらの声掛けに反応して即座に後ろへ下がる。発言や動作から、どうやらスパイスを探している客だと判断されたらしい。
「いえ、お気になさらず。
…
カレー作り、拘ってるんですね」
「え、あー
…
俺が拘ってる訳じゃないけどな」
後ろに下がった後メモ用紙に視線を向けていた男は、ムツからの再度の声掛けにやや戸惑った様子で応答し、ムツの方をちらりと見た。ムツが商品ではなく男の方に興味を示している事に疑念を抱いたようだ。ムツはこれ以上不信感を持たれないよう、帽子のつばを上げる仕草をとり、安堵の笑みを意識して言葉を続ける。
「いやぁ奇遇だなぁ、俺も買い出しを頼まれたんですけど、どれにしようか決めかねていたんですよ。辛口が良いとは言われたんだけど
…
」
「辛口っつってもメーカーによってまちまちだからなぁ
…
」
ムツの言葉に男は警戒を緩めたようで、「こっちはスパイス一式を頼まれたんだが
…
」と、持っていたメモ用紙の中身をムツに提示した。メモには丸みを帯びた文字でスパイスの種類と分量が書かれている。
「カレーを作るには少し足りないような
…
」
「市販のルゥに追加で加えるんだそうだ。
…
ところで、さっきからそっちの方で何か鳴ってるみたいだけど」
そう言って、男は気まずそうにムツの右胸ポケット辺りに視線を向ける。鳴りっぱなしだった探知機の音が流石に気になったようだ。
「ああ。金属探知機ですね。すみません、うっかり電源を切り忘れてたみたいで」
「
…
そうか。何か悪ぃな」
「いえいえ。それより、カレーの作り方で質問があるんですけど
…
」
男が「金属探知機」というワードに分かりやすく動揺した事を確認し、ムツは探知機のボリュームを消音に切り替え、そのまま何事も無かったかのように会話を続けた。
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