華子
2025-06-15 22:34:29
8385文字
Public ラキスケ宿センセ(宿夢)
 

(全年齢)ラキスケ補助監督と宿センセイ#3(宿夢)

3話目。
みんな生存・ハッピー謎時空の呪術高専が舞台。
ラキスケ体質の補助監督員🌸ちゃんが、
宿儺先生をトラブルに巻き込みながらなんやかんやありつつ関係を築いていく話(予定)そのうちR18にもなる(予定)


ようやく宿へと辿り着いたが、私達の姿を見たフロントの人の様子がおかしい。
予約した宿儺先生の名を複数回確認し、帳簿を捲り戸惑ったような表情を見せる。


「御予約時に、おひとり様と伺っておりまして……

体躯の大きな宿儺先生にビビり散らかして、今にも消え入りそうな小さな声で言われた言葉に、今度は私達が顔を見合わせた。


……そういえば私、突然一緒に行く事になりましたよね。」

「そうだな。」

「当初は宿儺先生だけで行く予定でしたっけ。」

「そうだな。」

「この宿を予約したのは宿儺先生?」

「そうだな。」

「もしかして、予約変更の連絡してなかったりします?」

「そうだな。」

「絶対そのせいじゃないですか!!!!!」


おっと。いけない、いけない。思わず大きな声を出してしまった。
気を取り直して笑顔を作り、フロントの人へ向き直るが、その表情は依然として曇っている。


「もう一部屋、お借りしてもよろしいですか?」

「それが……


────あぁ、曇った顔のままだったのは、こういう事だったのか。


事の顛末を聞いたところ、数年前に閉業したこの宿は現在、日帰り温泉施設として業務形態を変えていたのだが、今回は宿儺先生が一部屋だけ貸りるよう強引に手配をしたらしい。
一部屋は今日の為になんとか整えたが、それ以外は物置として利用されて数年、とても泊まれる状態では無いとの事だった。

だが、ここまで来てしまったのだし、もう仕方ない。
運転にも非常に神経を使って疲れたので早く休みたいし、宿儺先生と同室とのことだがきっとなんとかなるだろうと願い、部屋への案内をお願いすることにした。


軽く館内説明を受けながら、人の気配がしない廊下を歩く。

「今は男湯が左手、女湯は右手を曲がったところになっております。」


(ふぅん……女湯が右、女湯がみぎ。)

安易に想定できるラッキースケベ回避のため、覚え間違いだけは避けたいと思い、頭の中で繰り返し確認する。

現在通りがかっている館内温泉は、夜になるとめっきり利用者が減るらしいが、その代わりと言うように、朝は5時から日帰り温泉の営業が始まるそうで、近隣の住民が朝から押し寄せるのだとか。さすが、御老人の朝は早い。


「お、お部屋は一部屋なのですが!お食事は三人前程度と事前にお申し付けいただいておりますので、充分な御用意があります!それでは、ごゆっくり御寛ぎ下さいませ。」

本日、泊まる部屋の前に到着すると、案内をしてくれた人が言い訳のように早口で説明を終え、深々とお辞儀をして去ってゆく。
ものすごい速さで小さくなってゆく後ろ姿をぼんやり見送っていると、宿儺先生は私に構わず部屋の鍵を開け、室内へと消えてしまう。

ぽつん、とやけに静かな廊下に取り残されてしまった事に気づいて、慌てて宿儺先生のあとを追って部屋のドアノブに手をかけたのだった。