七海ななみ
2026-01-01 06:37:03
3693文字
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妖精は騎士の扱いに手を焼く④

ティーンのような青春を送るルカキリのシリーズ。今回で関係性がだいぶ進みました。
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フリンズと恋仲になった。
だが、未だに手つなぎしかできない!!
そりゃ、将来的にはセックスまで進めたい。でもキスすら進められない。
せめてハグをできるくらいまて、慣れていきたい。
手を繋ぐところから慣れようとはしているが、図体の大きい男二人が、手を繋いで赤面している姿は、なんとも言いがたい。
だが、フリンズが知恵熱を出したことを考えると、これ以上に良い手はない。
アルベドに相談しようとしたら、俺の顔を見ただけで嫌そうな顔をして、

「恋愛相談は受け付けないよ」

と先手を打たれてしまった。おもいっきり顔に出ていたらしい。
俺は、どうすればいいのだ


─────────


相談したいが、相談できる相手がいない
カチャカチャ・クルムカケ工房にて、ランプの修理を待っている間、フリンズは、相談できる相手の少なさに嘆いていた。
良い歳した男が、ティーンのような恋愛事情を話せるわけがない!!
なんなら、秘聞の館の連中からは弱みとして握られるかもしれない!!
唯一相談できるかもしれない旅人は、ナドクライを離れている。
なので、この悩みを一人抱え込むしかなくて
気がつけば手を見つめていた。
練習を重ねていてから、手のひらを見つめることが増えた。
手のひらに、ファルカの熱が残っている気がするのだ。

「フリンズー! できたよー!」

アイノさんに声をかけられて、弾けるように顔を上げる。
そうだ、ここはカチャカチャ・クルムカケ工房だった。変な行動をするわけにはいかない。

「アイノさん、ありがとうございます」
「いいんだよ、こっそりお菓子持ってきたらまた修理するから!」

ちょろい天才機械技師に感謝しつつ、ランプを受け取る。見事な仕上がりだ。

「そういえばフリンズって最近おじさんと仲がいいよねー」

悩みの中心であるファルカの名前を告げられて、ランプを落としそうになる。
落ち着けキリル・チュードミロヴィッチ・フリンズ!
さすがに子供の前であのような姿を晒すな!

「ええ、よく会うことも増えました」
「そうなんだね。おじさんがモンドに帰っちゃったら寂しくなるねー」
………モンドに、帰る?」
「だから今のうちにたくさん仲良くしないとね! ってフリンズ? 大丈夫?」
………………………

石化したかのように固まってしまい、アイノさんに揺さぶられるまで動けなかった。


──────────


何も対策が取らないまま、夜明かしの墓で練習の日が訪れた。
地下室で、ベットに並んで腰かけて、フリンズの手を握る。

…………………
…………………

互いに、顔が真っ赤だ。なんとも言えない沈黙を過ごす。
手から熱が伝わり、手汗が流れ落ちる。
握り合う手が、もぞとぞと動き出す。

…………あ、の………

耳を澄ませていないと聞こえないくらいの小声で呼び掛けられる。
フリンズの顔を見ると、耳まで真っ赤で、涙目になっている。

………………だきしめ、たい、です………

俺の恋人が、かわいすぎる。思考はここで止まった。


────────


ファルカは遠征でナドクライに来ているだけ。いずれモンドに帰る日が来る。
時間は無限ではない。このままだと、抱き締めることもできないまま、モンドに帰る日が来るかもしれない。
恥ずかしい想いを、している場合ではないのだ!
そう奮い立て、抱き締めたいと伝えてみた。
ファルカが固まる。固まっているなら、抱き締めるまでだ!

…………しつれい、します………

胸に頭をあて、背中に腕を伸ばす。
あたたかい。
熱の心地よさ、厚みのある身体。
耳からはバクバクとした心臓の鼓動が聞こえる。
恥ずかしい。だが、落ち着く。
少しずつリラックスをしていると、僕の背中にファルカの手が回ってくる。
さらに早くなる鼓動を聞きながら、熱を移し合うように、抱き締めあった。

どれだけ抱き締めあっただろうか。
心臓の鼓動は少しだけ落ち着いたと思う。
ハグはストレス減少に効果があると聞いていたが、本当かもしれない。

………フリンズ」
「ひゃい!」

耳元で声を囁かれ、変な声が出る。
これは、身体が痺れているのか? 声を聞いただけで?
未知の感覚に戸惑っていると、耳元で、声が、

…………その、キスをして、いいか?」

キスをしていいか?
声が頭のなかで反復する。
顔が熱くなる。体温が上がる。脳が沸騰しそうになるが、耐えろ! ここは元貴族らしくスマートに返事をするんだ!

…………………はい」

掠れた声で返事をすると、肩を捕まれる。
ファルカも、顔が真っ赤だ。
顔が、近づいてくる。こ、こういう時は、確か、目を閉じればいいはずで。
目を閉じると、唇にふにっとした感触が触れる。
キスを、している。
柔らかい。唇ってこんなに柔らかいのか。唇から伝わる熱が、心地がよくて。
しあわせ、だ。
抱き締めて、キスをしているだけなのに、こんなにも幸せなんて。
静かに、幸せを享受していると、ファルカが倒れた。

「ファ、ファルカさん?!」


───────


「まさか、あの大団長が、キスをして、呼吸を忘れて、倒れるような、無様な真似をするとは、僕も予想ができなかったよ。
君、本当にいくつ? 童貞じゃないんだから!!」
……………すまん」

青筋を立てたアルベドに説教をされた。今すぐ爆弾を投げられそうな勢いだ。正論に反す言葉がない。
ようやくキスまでいけたのに、フリンズがキスで倒れた俺がトラウマになったのか、少し怯えている。
でも、練習は進んだ。抱き締められるようになった。
先は、まだまだ長そうだ。
無意識に唇を触ってしまい、アルベドに真剣に聞けと、怒鳴られた。

つ、次は、ディープキスができるように、なりたい。
そのためには、フリンズの警戒心を解かないと

数日後、キスで呼吸を忘れたことを必死に説明している、情けない大団長がいたとか。


───────


ファルカと、キスを、した。

「フリンズさん、最近よく唇を触っていますね」
…………そうでしょうか? 乾燥してきたせいかもしれませんね」
「唇ってよく乾燥しますからね」

イルーガは特に疑問を抱くことなく、世間話を続ける。
最近、無自覚に唇を触っている。
あの感触が、熱が、忘れられないのだ。
また、キスをしたい。そう考えてしまい、顔に熱が集まる。

「フリンズさん、顔が赤いです。熱でもあるんじゃ
………そうかもしれません。早めに休みますね」
「はい、お大事になさって下さい」

イルーガが帰ったら、水を張った桶を用意しないと。
今なら、冷水はぬるま湯になるくらい、熱いかもしれない。


───────


ナンジャタウンに、物資の買い出しに来ていると、ドゥリンに呼び止められた。
ファルカが、フラグシップで飲みすぎて動けないらしい。

「フリンズさんなら大団長運べるよね? 部屋まで運んでほしいんだ」
………そういうことでしたら」

大丈夫。運ぶだけだ。緊張するところではない。
フラグシップに赴くと、ぐでんぐでんに酔っ払ったファルカがいた。
声をかけても呻き声をあげるだけだ。
肩を組み、フラグシップの奥の部屋まで運ぶ。
部屋にあるベットに寝かせるだけでも、一苦労だ。
ファルカの寝顔を見つめる。唇に視線を奪われる。
ファルカの唇を、指でなぞる。
柔らかい。
顔を近づけても、起きない。
キスが、したい。

………んっ」

触れるキスをする。
唇の柔らかさ、温もりが伝わり、幸せな気持ちになる。
前にファルカが窒息しかけたから、途中で呼吸を挟むようにして、何度も口づけをする。
気持ちがいい。もっとしたい。
ふと、目を開くと、サファイアのような瞳と目が合う。
目が合う?

「ふぁ、ふぁるかさん?!」

思わず飛び上がって後退りをしようとするが、腕が背中に回って身動きが取れない。
ファルカの顔が近づいてくる。

「あの、すみません、寝込みを襲うような真似を」
「フリンズ
「ひゃい!」

耳元で話さないでほしい。変な声が出るので!
そんな抗議は口を塞がれたので、できなかった。
開いた口の中に、ファルカの舌が入り込む。
固まっていると、ファルカの舌が、僕の舌に絡み付いてくる。
口を、食べられている。
これは、なんなんだ!!
舌が絡め合い、唾液を交換するかのように、熱くて、唾液の音が鳴り響いて、脳が沸騰しそうで、
そう思っていたら、ファルカが倒れる。

「ぐがー」
………………

呑気なイビキが聞こえ、床に座り込む。
なんなんだ、あのキス。あれはキスなんだろうか。
腰が、抜けて、動けない。
それに、なんだか、身体がおかしい。むずむずするような感覚がある。

………え?」

僕の男性器が、見たことない形をしている。なんだこれ?!



次回から年齢制限入ります。