もん
2025-12-24 22:37:04
6005文字
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A国について

蹂躙HO1



ステラ教(意訳抜粋)

アストルム王国は建国の女神により建てられた神聖な国である。
故に、女神はアストルム王国内の人間や動物を特別に愛し、慈しみ、優遇し、祝福するのである。女神に恩寵を与えられている我らは、他の人間や動物よりも遥かに恵まれており、特別であると心得よ。
人間と動物は同列であり、そこに優劣はない。
人間も動物の1種である。努々驕らぬように。
女神の恩寵は人間のみではなく、国内の動物にも与えられている。尊重し、共生し続けよ。
動物もまた、アストルム王国の民である。
民同士で傷つけ合う行為は、如何なる場合も行ってはならない。女神の民である自覚を決して失わないように。

女神は我らをいつでも見守ってくれている。
亡くなったアストルム王国の民の魂は善悪の区別もなく須らく女神のもとに迎えられ、女神の赦しと魂の浄化を経てから、アストルム王国の新たな民として生まれ落ちる。浄化により生まれ落ちる前の全ては忘却されてしまうが、この国に生まれ落ちたのならば、それが女神の恩寵の証である。罪を犯した魂、穢れた魂、擦り減った魂でも女神は赦してくださる。それでも、女神はその魂を迎えれば我らの人生を労わって涙を溢すだろう。女神を哀しませないように、幸福な日々を歩む努力を怠ってはならないが、どうしても歩く気力がなくなったときは、女神の代行者に助けを求めよ。助けを求めないものに救いの手は伸ばされない。救われたいのであれば、助けて欲しいのであれば、手を伸ばすことを諦めぬように。

女神の恩寵を受けた人間が亡くなった場合は、敬意を払って弔うべし。
亡き者の血肉を親族または親しい者がその身の糧とせよ。
また、骨は砕いて粉末にしたものと臓物は女神の代行者たる女王の身許に納めよ。
病に冒されたものの亡骸は、糧とはせずに全て女王の身許に納めよ。
親族も親しい者もいない場合は、女王がその責務を全うし、弔いを行う。
亡き者の血肉や骨を動物に与えてはならない。炎で焼く、大地に埋める、水に流す等の自然にその骸を晒すことを禁じる。
女神の恩寵を受けた者の亡骸は、女神の恩寵を受けている同族の糧となるべきである。亡骸を同族以外の者の糧とするなど、あってはならない。

国外のものは全て等しく侵略者である。
侵略者は一切の例外なく皆敵であると心得よ。
侵略者を信用してはならない。
侵略者を信頼してはならない。
侵略者を侵略者と呼んではならない。
侵略者と書いて親愛なる隣人と読むべし。
侵略者に無闇矢鱈と攻撃を仕掛けてはならない。専守防衛を心がけよ。
尚、最初に受ける攻撃を可能な限り最低限に留めるよう尽力せよ。
侵略者に容赦してはならない。侵略者は須く醜く悍ましいバケモノである。心を許してはならない。

武力をため続けることを怠ってはならない。
力をため続けることを怠ってはならない。
いつでも抵抗できるように、全てをため続けることを怠ってはならない。

侵略者の持ち込むものを口に入れてはならない。
侵略者に受けた仇は全て忘れてはならない。
全ての焔を燃やし尽くすまで。

受けた恩は返還せよ。
受けた仇は返還せよ。
恩讐は等しく精算せよ。
恩と認識したのなら、仇と認識したのなら
天秤を吊り合わせよ。
女神に恥じることのないように。

女神の代行者たる女王は生誕祭も葬儀も行ってはならない。
女王は女神の恩讐を示すもの。
女王の存在は女神が我らをいつまでも気にかけていてくれることの証左。
女王が存在している限り、女神の恩讐は続いている。
女王はいつまでも、女神と同じ容貌で、女神と同じ声で、女神と同じ笑い方で、我らを導いてくださる存在である。
女王が表舞台から姿を消したとて、どこかで我らを見守り続けてくれている。
すぐに次の女王が現れて我らに微笑んでくださる。
我らの星が翳ることは、永久にないだろう。

祈りたい者が祈れば良い。
縋りたい者が縋れば良い。
女神は愛する者たちに何も強制しない。
ただ、そこに在ってくれる星である。
星の祈りを、星の願いを、叶えてあげたいのは、我らの方である。
建国から現在に至るまで見守り続けてくれている、女神に恥じることのないように、女神を哀しませることのないように、女神が穏やかに笑っていてくれる国で在り続けよう。