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雨音
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黒薔薇のトリカゴ【本編】
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第1話【宣戦布告】4/7(月)
黒薔薇のトリカゴ第1章。
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「よぉ
空木
うつぎ
。今年も一緒のクラスだな。よろしく」
3-3の教室に入ってすぐ、片手を上げて挨拶する男子生徒。彼は
青矢
あおや
傑
すぐる
。朔叶のたった一人の友人だ。
「はぁ、よろしく
……
」
「新学期早々、元気ねぇな。まぁ今年に限った話じゃねぇが」
「君とふみちゃん入れ替わってくれないかな」
「そういうのは先生に言え」
重苦しいため息を吐きつつ、傑の一つ後ろの席に座る。そのまま力無く机に突っ伏した。おそらくクラス替え一つで人生のドン底に落ちたかのように絶望しているのは
朔叶
さくと
だけだろう。
普通ショックを受けるにしても「仲良い友達と一緒のクラスになれなかった、残念
……
」と多少肩を落とすくらいだ。だが朔叶の場合、余命宣告を受けたかのように感情を絶望一色に染める。実際、
文花
ふみか
と同じクラスになれないことは彼にとって余命宣告に等しい。
「
……
はぁ、ふみちゃん
……
いま何してるかな」
ついさっき教室の前で別れたばかりである。しかし朔叶にとって数分前に離れた事実さえ重くのしかかる。
手のひらにわずかに残った文花のぬくもりを逃がさないようにそっと握りこむ。
『ふみちゃん、後で迎えに行くからね』『ありがとう、さく』
手を離す前のやり取り。
ゆらゆらと不安に揺れる朔叶の視線を前に、文花は安心させるように静かに微笑んでいた。自分からは離さず、朔叶の覚悟が決まるまでずっとそのまま待ってくれた。縋るようにぎゅっと指を掴む。無償で与えてくれる優しさに甘えたいが故のささやかなわがまま。
『
……
』
それから数分後、小さく息をついてからそっと手を離した。
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