いを
2025-12-17 16:03:58
1555文字
Public タグ、掌編、その他
 

タグまとめ33-④(了)

くらくら
刀神
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。


 天照本部はいつだって明るい気がする。小夜子は学生時代に忘れ物をして、こっそり高校に忍び込んだことがある。そのときはとても暗くてすこし足が竦んだものだ。
「このあたりってとても明るいのね」
「刀遣いの元締めだからねぇ」
 八雲は間延びしたような声色でそういった。木の上には白い烏が一羽。おおかた、彼のバディの白映だろう。すました顔でどこか遠くを眺めている。
「八雲さんはあの本、もう読み終えたの」
「えーっと、まだそこそこ……かな」
「ふうん。弐段って忙しいものね。わたし学生のころに読みたかった本があったんだけど、結局借りれなかったの。どうしてか分かる?」
「どうして?」
 彼は不思議そうに首を傾けた。小夜子は暗くなりかけた空を眺めながら「借りパクってやつよ。わたしより前の卒業生が」と答える。隣の背の高い男は「あー」と苦笑いをした。
「八雲さんも図書館で本を借りるときはちゃんと返さないとだめよ」
 そう念を押すと、彼は声を出して笑った。