hatonyannyan
2025-12-14 21:13:38
3682文字
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哀惜は風に消えゆく

ろごす前になんとかバヴ書きたいって思って書いたけどパロだしカプ色薄め。



兄が死んだのは僕が十歳の頃。丁度十年前のことだ。
暴走した馬車から僕を守るために僕を突き飛ばして、兄はまともに轢かれた。即死だったと聞いている。それだけでも悲劇だが、それよりも最悪なことが待っていた。丁度国外に商談に出ていた父が戻ってくる前に、常日頃から兄を疎んでいた母は兄の遺体をロズフィールド家が代々所有する霊園ではなく身元不明の人が葬られるような共同墓地に、葬儀も行わず埋めてしまったのだ。
帰ってきた父は当然ながら激怒した。父と母が言い争っているのを聞いていると、誰も兄の安らかな眠りを祈っていないんじゃないかという気になってしまって、兄の部屋でその日あったことなど他愛もないことを話したり、静かに祈ったりした。
両親の話し合いは平行線で、母は僕と父を捨ててさっさと家を出ていった。僕たちもそのままあの家に住み続ける気にはなれず引っ越しをして、それから今まで会うことはなかった。再婚して贅沢を極めた暮らしをしていると噂には聞いていたが、昨日豪邸が全焼して再婚相手と一緒に亡くなったと連絡が来た。原因不明の出火だそうだ。
もやもやした気持ちを抱えたまま葬儀に参列し、その足で共同墓地に来た。大勢と埋葬されてしまったため兄の遺体は結局見つからず、恐らく兄は今もここで眠っている。
「母上が亡くなったそうだよ。あの世でも兄さんが苦しい思いをしてほしくないから、鉢合わせないといいのだけど」
兄の魂の平穏を祈る。あの優しく強い人が、どうか全ての苦難から解き放たれていますように。

不意に吹いてきた風に肩を震わせる。この国の厳しい冬は、死と戦を統べる神……オーディンが巡ってきているからだという神話がある。こんな気持ちになるのも、死の季節だからなのだろうか。空に消える白い息を見送って、今一度二人の安寧を祈った。

どこか遠くで、野犬か何かが悲し気に鳴いた。