ムームー
2025-12-12 17:30:22
7936文字
Public MHA
 

約束

中学時代の瀬呂くんのお話。相互さんネタ提供。



 時が進んだとある日。瀬呂は街中を歩いていた。すると。

「うえぇぇん!」

 小さな女の子の鳴き声が聞こえて、瀬呂は振り返った。泣き声をあげた子は少し離れた街灯の下にいて、ぱっと周囲を確認すれば凝ったデザインの街灯に風船が引っかかっていた。

ーーあーあれね

 瀬呂はヘルメットを下げると、小さな女の子の前まで行ってしゃがみ込んだ。

「どーしたの?お嬢ちゃん」
「ふうせんさん、飛んでいっちゃった」
「あらまぁ可哀想に。ちょっと待ってな」

 一応聞いたものの、結果は彼の予想通りだった。瀬呂は立ち上がると、目的の風船目掛けてテープを飛ばす。風で剥がれないようにテープで一周、軽く包んでから風船を引き寄せて、紐が掴めたところでテープを剥がした。それからまた彼女の前にしゃがんで差し出す。

「はい」
「ありがとう!えーっと
「俺はセロファンね。ヒーローだよ」
「せろふぁん!」

 様々な、ある意味誰にも真似出来ないような経験を経て、瀬呂はプロヒーローになっていた。彼から名前を聞いた少女は、どこかに行っていた母親と合流するや否や、嬉しそうに報告する。

「まま!まま!せろふぁんが取ってくれた!」
「セロファン?!って、あのセロファン?!!」
「多分そのセロファンです」

 大戦の影響が後押しとなって、プロヒーローになってからもすぐさま著名になった瀬呂の姿を、母親は目を丸くして確認する。仕事で普段活動している静岡から東京に来ているので、驚かれるのも無理はない。軽く会釈すると、母親は娘と瀬呂を交互に見比べた。

「え、本当に?!助けてくれたんですか?!!」
「なぁに、このくらいなんてことないっすよ」

 話していたところに脚立を持って来た警官が母親を追いかけてきたことから、風船を取ってもらえないか、近くの交番まで頼みに行っていたのだとわかる。合流した警官は顔見知りで、瀬呂はニヤリと笑った。

「ごめんね、仕事取っちゃって」
「思ってもないくせに」
「セロファンが取ってくれたって、広めちゃっていいよ」

 瀬呂がメットの窓を開けてニッと笑えば、警官は担いでいた脚立を肩に背負い直す。

「おう!中学時代の分も広めてやるよ」

 追いかけてきたその警官は、なんと偶然にもあの中学時代のクラスメイトだったのだ。

 彼が交番に戻るのに付き合いつつ、なんとなくダラダラと話す。

「ってか珍しいな?瀬呂がこっち来てんの」
「お前が言ったんでしょ、この仕事」
「マジで、こんなに有名なヒーローになったのにやってくれるとか思わなかったわ」
「俺ってね、意外と義理高いのよ」

 交番の前に着くと、警官は「んじゃよろしくね」といたずらに笑って職場に戻って行った。ヒラヒラと手を振って、瀬呂は目的地に向かって歩き出す。

 今日、瀬呂が東京に来ていた理由。それはただ

ーー平和になっても、ちゃんと目的が残ってて良かったわ

 母校の体育館の天井に嵌められたバレーボールやバスケットボールの回収を、無償でやってあげるためだった。

∴∵∴∵∴∵

というわけで、ただ瀬呂くんが体育館の天井に挟まったボールを取るだけの話です(笑)

 相互さんの「個性社会だと、天井に挟まったボールとかないのかなぁ(意訳)」という発言から、「さすがにそれは大々的に個性を使わないと難しいのでは?」とか「いやでも瀬呂くんならいい特訓になりそう」とか考えて妄想してたらこうなりました。

 瀬呂くんが憧れているのは、もちろんスパイダーマンだとは分かるんですよ。ただスパイダーマンって、私個人の感想ですが、アベンジャーズの時とスパイダーマンメインの映画の時で結構キャラが違う気がするんですよね。
 そして瀬呂くんの「ギャップの男」という点から考えても、彼が憧れてるのって、PU映画のかっこいいスパイダーマンじゃなくて、アベンジャーズの方の、ちょっといじられキャラで愛嬌があって、でもやる時はやる方のスパイダーマンなんじゃないかなと。
 みんながイメージする、かっこいい方に憧れない方が彼には合っているかなというのもあります。サブカルチックなところありますよね、彼←(ド偏見です。土下座します)

 今回の小説で個人的なお気に入りは蜘蛛の付箋を使う瀬呂くんです。らしくないなと思いつつ、推しグッズみたいな感じでひっそりと使ってて欲しいです。

 まぁ二次創作のため、完全に色々妄想ですし、家事育児しながらの2daysクオリティなので、粗いところはお許し下さい😅