もん
2025-12-07 22:45:08
5482文字
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経年劣化

VOIDのHO4秘匿内容あり



「そうだね、貴方の名前は

そう言って少女は私の手を取り、手の甲に「00」とペンで書く。

「貴方の名前は00って書いてレオ。どうかな?私が昔、大好きなお人形につけてた名前なの」

そう言って少女は笑った。
私の手を取っている彼女の手と、私の手を眺める。暖かくて、柔らかくて、血の通った、彼女の手。それと重なる、冷たくて、硬くて、関節部分が球体の機械の手。
なんだか、そのまま自分の手を彼女の手に重ね続けると、彼女の体温をが奪ってしまうのではないかなんて思考が過ぎって、思わず先程まで着けていた手袋を探すように、一瞬だけ眼が彷徨った。

そんな思考をおくびにもださず、目の前の彼女にお礼の言葉を伝えるために、表情を柔らかく崩す。

「ふふ、ありがとうございます。光栄です。大事にしますね」

この記録を、貰った名前を、私に贈り物をくれた貴方を、大事にしたいと思った。

それと同時に、あまり関節部分を露出したくないな、とも思った。それに、私の表面温度は冷たいから、可能な限り人間に直接触れないように気をつけようとも思った。
でも、触れたいし触れられたいので、手袋などの布を挟めば可能かな、なんて、浅ましいことも同時に思った。

その日から、私はこの小さな箱庭で、子ども達と過ごすようになった。

私に名前をくれた少女はココロという名前らしい。他にも、運動が得意なくお。おしゃれが大好きなみみ。茶髪が特徴的なひさとと、そんなひさとにいつもくっついているさとみ。

私はどこか不安そうな子ども達に、ココロの真似をして数字をつけてあげることにした。
くおには90、さとみには3103、ひさとには1310、みみは33。

ただの猿真似の言葉遊びだった。それでも子供たちは嬉しそうに手の甲に書かれた文字を見ていた。

そんなに喜んでもらえるとは思っていなかった。私が嬉しかったことを真似して書いただけなのに、子供たちの表情を見て、本当に嬉しそうにしてくれていたので、この子供たちも、大事にしたいなという感情が芽生えた。

私と子ども達は毎日いろんなことをして遊んだ。鬼ごっこをしたり、絵を書いたり、少し難しい本を読んでみたり、歌をうたったり。

「さとみって、いつもひさとにくっついてるよな。俺たちもう12なんだから、ガキみたいなことすんなよ」

「でもそんなこというくおだって、いつもレオについてってるじゃん」

「はあ!?それは関係ないだろ!」

顔を赤くするくおに、周りの子どもたちが笑い声をあげる。毎日が楽しかった。

私についてくるくおのことが可愛くて、愛おしくて、思わず溢れた笑みを隠さずに言い争う2人の頭を柔らかく撫でる。

「まぁまぁ、いいじゃないですか。何才になっても、好きなことを好きなだけしてください」

2人の顔を覗き込むと、ひさとは少し恥ずかしそうにしつつも満更でもなさそうに私の手を受け入れて、くおは少し拗ねたように顔はムッとしつつも顔の赤みは引いていなくて、それでも私の手を払い除けないくおが可愛くて、子供たちにはくおへの贔屓もバレていそうだな、と思いながら2人の頭を撫で続けた。