5hi
2025-11-26 16:31:31
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ジョカステⅢ 2幕の考察と自己解釈

【前置き】
上演誠におめでとうございます!!!!!!!!お世話になっております!!!!!!!!
スパイ皆出して、舞台映えするようなアクションも作って、そのうえでスパイミステリとしてのジョーカーゲームのファンも好きになれる脚本にするの大変でございましたでしょうな…ということで西田さんへの謝意を込めて。
今回のオリジナルエピソードを咀嚼してみたので、2幕で誰がどう動いているのかを把握するヒントとかになればと思います。
最大限いいように解釈してます。そう思って観たらそう見えるかもくらいのものだと思ってお暇にお読みいただければ幸いです。
記憶違いなどご容赦ください。

すみません、長いです。

2025/12/7:その後の観劇で思ったことを整理してリライトしました。



・ベルリン組(三好・波多野)
甘利の「ベルリン三好ですね」からの三好にバトン。ナチの親衛隊保安部(SD)に潜入し「情報源である独地下反戦組織の一斉拘束を阻止」と「“内通者”の存在を伝えること」が三好の任務。
ドイツに対し同盟予定の日本のスパイがSDにまで入り込んでいると示すことで、同盟締結を遅らせたい意図だと捉えた。
波多野はその応援。その応援て。「フランスから」と言及があるので“誤算”後帰国せず直行ルートかもしれない。というか地下反戦組織のサポートはほぼ波多野がやってるな?
この時点で開戦の反対派について「ドイツにもいるように」と中佐から仄めかされているので、すでにツヴァイフェルは中佐か三好と接触があったともとれる。
その場を抜けるときの合図について中佐から伝えられるとき、ロビンソン掲げられて「神永、ですね。」って爆速理解する三好について、これ神永が英国からへとへとで帰ってきたの周知の事実どころかもう身内ネタのレベルなのちょっと面白いかも。Ⅱで才川神永が嬉々として任務の話してたから、そういう体でみんなから茶化されてたらいいな。
三好もしかしてロビンソンの符丁で向こうにスリーパーがいることまで察してるのかな。最後まで余裕たっぷりだし。

次の場面ではSDの拠点に潜入し、ベルリンに潜む地下反戦組織の情報を掴む。その後ラインハルトをおびき寄せる陽動作戦としてわざと荒事を起こし、波多野に場面が移る。
三好がその場を切り抜けるときの「最低人数になるって聞いてたんだけどねえ!」がSDに内通者(ツヴァイフェル)がいる事の伏線。
一方波多野は地下反戦組織の一斉拘束についての情報をラインハルト別邸に忍び込んで調査するも、ラインハルトとツヴァイフェルに待ち伏せされてしまう。これはラインハルトの密偵(※かつD機関のスリーパー)がいる事の伏線。
ここでラインハルトが波多野を殺さないのは、この後SD内部の内通者を見つけ出すために泳がせるから。ツヴァイフェルが殺さないのは、内通者だから。
とはいえ、交戦して波多野が負けたらそれはそこまでで殺したんじゃなかろうかと思う。ただ立ち回りの動きを見るに、波多野はかなり追い詰められた風を装っているように見えるので、当然敵ではない気もするし、ラインハルトは誘い込むような動きなので手加減していそうに思える絶妙なバランス。
ラインハルトの「いつの時代もいる。“時の流れに逆らうやつが”」。これがドイツの開戦派の、つまり開戦までの時間を早めたい人間であることを示すキーセンテンス。
ラインハルトはツヴァイフェルに内通者を探すよう伝えるが、ツヴァイフェル自身がそうである疑いとともにこちらも泳がせた。とはいえラインハルト、ツヴァイフェルに激甘だな。

ところ変わって三好と波多野の密会に内通者のツヴァイフェルが合流する。はじめ「尾行の二重確認は?」なんて言うがそこは「掃除はしてきたか?」とかでも良かったんじゃないかと思ったり思わなかったり。
協力者としてツヴァイフェルが伝えた情報が間違いでないこと(一斉拘束の日時及び置換表の情報と反戦組織の位置情報の裏取り)を確認して現時点で信用があることを伝えると、ツヴァイフェルはその見返りとして「ヒトラーの排除」への協力を要請する。
SD(ヒトラーの信奉者)の軍人にそれを言わせるのは流石にファンタジーじゃないかと思ったが、ここでⅡのワルキューレ軸で三好のカバー「仲里」が関わった事件の話がでてきて(ジョカステⅡを参照ください)、ランゲの映画(反ナチ・反戦を訴えるもの)をあの場で見たことによって、ツヴァイフェルの信心が揺らいだ、という経緯に繋げている。(1幕“ジョーカー・ゲーム”の佐久間をなぞるような形でもある)
だからはじめにツヴァイフェルは三好のことを「撮影技師のナカザトか」と確認する。あの場は閉じた場だったのでSDのツヴァイフェルが居るのも不自然じゃない。
ただ一軍人にスパイだと気づかれている場合ではないのは、本当にそうで、だとするなら、ツヴァイフェルはあの場で三好と対峙して初めて、彼がナカザトと同じ顔をしていることに気付いたのではないだろうか。
想像だが、ワルキューレの件の後、仲里はレ二の前から姿を消していて、この作戦の三好は「マキ」でも「ナカザト」でもない男なのだと思う。だから三好は仲里を「知らない男だ」と答える。
ツヴァイフェルは協力を申し出た理由として「奪われる命を一人でも減らしたい」と自身の答えを出し、自分の要請が断られたことにも「信念ならば仕方がない」と軍人らしい理由で行動する。自身の命を賭すことに対して覚悟があることも含めて。
そこで別れ際に三好が「ここまでの協力の礼」として手紙を託すが、ここからの三好の動きが“ワルキューレ”に感化されての一芝居だったら、なんか無性に嬉しくなるのでそう思っておく。
この間波多野本当に蚊帳の外で可哀想かわいい。ちなみに「背後に気付いていないフリをする波多野」って今作の1幕でも似たようなところがありませんでしたか。
あるいは三好の行動、波多野にはラインハルトをおびき出す陽動作戦だと言っておいて、実は波多野の方がツヴァイフェルを呼び出すための囮だったら笑う。それが解っているにせよ「三好説明しろ~!」と憤っている波多野はそれはそれでかわいいので。

その後、ラインハルトは一斉拘束の日に総統の影武者を用意し、ツヴァイフェルとその協力者の日本のスパイをあぶり出そうと目論む。そこを押さえる任務を担うのが回替わりゲストの黒スーツの男であり、結城中佐とラインハルトの二重スパイのスリーパー!マジで全員かっこいい。名前がないところが最高。
黒服一人舞台に残して、舞台上段に結城中佐を登場させる関係の示唆、この構図もとんでもなくカッコいいね。
「君の眼は高揚しているよ。」の理由は(お前を出し抜けるからな!)みたいなスパイの矜持か、あるいはプロのスパイの演技を見抜けていないラインハルトとも取れる。クールに心燃やして。
一方で波多野が地下反戦組織に出向いて「一斉拘束の日付は明日だ」と伝える台詞で、物語の時間が揃い、クライマックスに向かう。波多野って爆煙とレジスタンス担当なんですかねやっぱり。

その日、波多野は反戦組織を逃がし、三好はツヴァイフェルの元へ。ツヴァイフェルの総統排除の依頼を断っているから、機関員が「総統(影武者)が来ること」を知っているのはおそらく黒服からのリーク。ツヴァイフェルが自身で総統を手にかけようとすることからも機関員に連絡は取っていないと思われる。
ツヴァイフェルが日本のスパイに情報を流し、同じ場に居合わせると思っていたラインハルトは、まず銃を手にしたツヴァイフェルを見て「やはり裏切り者だったか」と思う。
矢先、三好が総統を狙い「騙したな!」と叫ぶことで、ツヴァイフェルへの嫌疑を一転、内通者のふりをして日本のスパイをおびき寄せた優秀な部下に認識を改めさせた。三好の「おびき寄せられると思っていた!」は自分たちが釣られた側だというアピールかな。
ツヴァイフェルは事態に対して何が何だかという顔をするが、彼の視点で経緯を踏まえると三好が嘘を言っているのは明らか。であるならばそこからの動きは、おそらく目の前でナカザトが作った隙を逃すまいと、ラインハルトを撃つためのもの。
ツヴァイフェルは確実にラインハルトに拳銃を向けており、ラインハルトがそれに気づく直前に、三好はわざとツヴァイフェルの肩口を撃ち、ツヴァイフェルへの疑いを完全に払しょくしたように見える。三好乱入時、ツヴァイフェルが蹴っ飛ばされるところを見ると、ラインハルトの視点では最後に三好が彼を撃つまで疑心は残っていそうなので、これは止めの一発。
そして任務であるところの「内通者の存在を残したまま離脱」を遂行。ラインハルトは黒服に彼らを追わせているので油断しており、ツヴァイフェルが内通者ではなかったと下したことから「真の内通者を探さなければ」とD機関の目的通り振り出しに“戻った”。

三好がツヴァイフェルに託した手紙の「生き延びてください。」という結びは、今後三好のドイツの情報網の一部として利用できるように生かされたということだと解釈している。Ⅱでナカザトの語った「暖かさの中にある冷酷」ってこういうポイントのことだと思う。
そしてこの先、マキの守った協力者のリストに彼の名前があったかもしれない。三好はそうして彼を「生かした」。(というところも佐久間に重なるように思う)
ツヴァイフェルは、この戦いがもたらすものの悲惨さを思って、それでも戦争に向かって生き続けることになるわけで、犬丸の同位相のようだと感じている。

ベルリン組のラストは追手の黒服とのランデブー。「ここまでご苦労様」「これで終わりか?」からの「(スパイを)“捕まえられなかった”(と報告する)。これが終わりだ」みたいな会話一生好きだな。
「どうせならロビンソン~」「日付も!全然金曜日じゃない」云々は、「そこは黒い靴履いてきてよ」みたいな意味だと取っています。
私は彼らのことを中佐の私設スパイ網だと思っています。いつかの誰かに似ているような、さあどうかな、化け物の顔なんていつだってどこかの誰かと同じなんじゃないですか?
波多野本当に全然出る幕なくて可哀想かわいい。

・アメリカ西海岸(甘利)
当然のごとく“暗号名ケルベロス”後であることを風船で大アピールする甘利さん。結局Ⅰの時からずっと結城中佐にこき使われ続けてる。万年人手不足なので足抜けはキャンセルされました。
基本単独行動なので比較的シンプルで、アメリカ国内から送られるソ連のエージェントの通信内容(神永から共有される暗号文)の調査が任務。また、ベルリン組への連絡役も担当。
ヨーロッパへの戦争介入を企むアメリカ国内の開戦派の動きを掴むことが目的で、東京組・ベルリン組が開戦の反対派の動きを探っていたのと対になっているのかなと思う。
「開戦は、避けられないか」という台詞は、機関員全員が予想していることであり、その局面で彼らが何を成すのかがやはり舞台JGⅢの見どころの一つだと感じる。

神永との暗号解読シーン、モールス信号も暗号文もわかりません!これはすみませんもしガチ暗号解読班が居たらご教示ください。
ここでアメリカ開戦派の動きの裏側にソ連の思惑があると推測できることから、ジェームズ・カーンはソ連工作員という展開につながっていく。
ところでⅢまで毎度暗号解読班に振り分けられてる甘利サンの「また暗号かよ」って前回の続きですよという匂わせですか?
しかし甘利はケルベロスのエピソードで別に暗号解読業務は請け負ってはいないので、無論解ける技能はあるんだろうけれど、甘利さんが暗号班なのは解釈の話でしかないよな人生という謎(エニグマ)に挑んでいる男。(味がしますありがとう)

続いて解読結果をもとにカリフォルニア大学に潜入して研究結果を掴みに行く。タイミング的には東京組・ベルリン組の迎えている「明日」と同じかなと思う。
ほかと比べて対研究所の警備員なのは結城中佐の忖度ですか?殺されるリスクは下げておく的な。んなわけないか。
「欲しい言葉を手に入れたら直ぐに帰るから」なんて言うけど「帰る場所」を持っている甘利って、かえって甘利らしいような気がしてしまう不思議。
プルトニウムの存在・実験報告を突き止めた時点で、彼の化け物はそれが何をもたらすかは、その全容とはいかずとも理解しただろうし、そうして来るものを予見できる能力があったとしても、それを根本から変えさせる事ができないこともわかってしまうのだろうと思っている。
ここで客席に背をむけた甘利の背中が、いつも少しふらついているように見えて私は苦しくなる。
明確に背負ったものがある甘利という男が、その情報を持ち帰るために戦う姿こそは、生きるために戦う姿だと思った。まさしく謎を解いたものに課せられる責任と呪いを受ける様で、甘利らしい任務だ。
それとこの情報は「アメリカ国内のソ連のエージェント」が本国に送ったものであり、つまりはソ連にもアメリカで発見された核の存在について伝達されていると考えると、こう、世界全体が取り返しのつかない方へ向かっているような気がしてしまう。

中佐との会話で「切り札」に原子爆弾を設定するということの重みが、現代からするとあんまりな隔絶だと思う。既に犯されたあやまちに言及する無残さというか。
しかし「足を緩めさせねばならん」という結城の言葉は、そのジョーカーを切らせないように/引かされないようにしないとならない という意味であると思うし、それはおそらく現代に向けた言葉になりうるという点で、時代を超えられる舞台でしか成せないことだったと思う。
以上。


ところでどうやって三好と連携したんですか?あと各地のスリーパーの存在は知ってました?そこんとこどうなんでしょうか。謎っすか