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usagipai
2025-10-07 16:33:54
3352文字
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ディアルル
「ディアくん
……
ここは?」
彼女が小首をかしげると、ディアは少し遠くを見つめたまま答えた。
「
……
ここは、俺が好きだった場所だ。研究所にいた頃、よくここに連れてこられて
……
ピクニックをしていたんだ」
静かな声。けれど、その瞳の奥には微かな影が差していた。
その研究所は決して“いい場所”ではなかった。
ポケモンたちに非人道的な実験を繰り返し、笑顔の裏に痛みを隠した場所。
ディア自身も、あの時間を“幸せ”と呼ぶにはあまりにも多くの傷を抱えていた。
それでも
——
この場所だけは違った。
風がやわらかく、草の香りがして、空が高く見えた。
わずかな自由を感じられた、唯一の時間。
だからこそ、彼はここを彼女に見せたかった。
いや
……
もしかすると、知ってほしかったのかもしれない。
自分が何を見て、何を失って、それでもどう生きてきたのかを。
彼女は何も言わず、ただ隣に立って同じ空を見上げた。
その沈黙が、どんな言葉よりもやさしく、ディアの心を包み込んだ。
しばらくして、ルルが大きく息を吸い、こちらへ身体を向ける。
そっと伸ばされた手が、ディアの手をぎゅっと握った。
「ルル?
……
どうした」
「ううん。ただね
……
ちょっと寂しそうな顔してたから」
ディアははっとして、視線を逸らす。
「
……
そうか。そんな顔してたか」
「うん。でもね」
ルルは小さく笑い、彼の手を離さぬまま続けた。
「せっかくだし、今日
……
ピクニック、してみない?
ディアくんの“好きだった場所”を、今度は“好きな思い出”にしようよ」
その言葉に、胸の奥が少し熱くなった。
ディアは驚いたように彼女を見つめ、やがて小さく笑った。
「
……
ほんとずるいな
……
ルルは」
「えへへ、知ってる〜」
吹き抜ける風の中、二人はゆっくり腰を下ろす。
かつて悲しみが染みついていた場所に、今、静かな温もりが満ちていった
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