月見
2025-10-05 12:22:15
23063文字
Public シャリエグ
 

10/19シャリエグ新刊進捗

本編後馴れ初めと揉め事と……な本になる予定。
※ザべ君に難民時代男性経験があったことを仄めかす描写有り

「終わりにしましょう」

 私の都合ですみませんが。そう唐突に切り出された言葉に、決別に、澄んだ菫のバイカラーアイはぽかんと、呆けたように瞬いて硬直した。



 人工の朝日が差し込む休日の、いつもよりは少し遅い朝食の後。
 厚切りのトーストにバターをたっぷりと塗って、サラダにスープ、そして眠気覚ましのコーヒーも淹れて。そんな、随分と慣れた二人の朝だった。
 皿もコップも綺麗に空にして食洗器に入れ終えて。適温に整えられた室内にふと心地よい沈黙が落ちた、その時間だ。

「終わりにしましょう、エグザベ君」

「ああ心配しないで、取り急ぎですが官舎への入居を含め引っ越しの手配はこちらで済ませてありますので」

 低く穏やかで、深く沈み込むようなバリトンが綺麗に拭かれたテーブルに、磨かれた床に、エグザベの鼓膜に落ちる。瞬きも無い、フローライトグリーンはやはり静かなものだった。

 三か月。
 シャリアとエグザベがこのシャリアが暮らす部屋で同居を始め、恋愛関係に至ってから丁度三か月だった。

 突然始まり、けれど馴染んでいた関係も生活も、今この瞬間、終わりを告げたのだ。