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保科
2025-09-28 10:29:29
4522文字
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スタレ
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帰る場所
アグサフェ メール.exe一通目軸だけど特に関係ないっちゃない 捏造を噛ませすぎてもうなんだかわかんないです 3000万回やってれば1回くらいはこういう時もあるだろ あれ
1
2
「
―――
」
――
目覚めた時。視界いっぱいに眠るセファリアの顔があった時は、なるほどこれはよく出来た夢ですね、と感心した。何故なら、目覚めてすぐ彼女の寝顔を眺めるなんて、そんな都合のいいことはあり得ないからである
――
だがそれにしては、何秒、何分経とうと、いつまでも夢から覚めない。
真実を映さない眼をこすりながら、微風のような寝息を立て幸せそうに眠る彼女を、さながら荒唐無稽な会話が流れていくディティクティオを眺めるようにして、アグライアは考える。
どうにも、おかしい状況となっている。だとすると、夢ではない
……
ということ?しかし、そうだと仮定するならば、今のアグライアは『セファリアと一緒に寝台に横たわっていることになってしまう』では、ないか
――
真偽を確かめるように伸ばした金糸は。ただ、彼女が本物であることだけを伝えてくれる。
――
夢ではない?
「
―――
え?」
動揺に、声が溢れた瞬間。現実に漸く思考が追いついた
――
けれど理解は未だ追いつかない。
なぜ、このようなことになっている?思い出す。昨日は制作を進めていて、最後、衣装の裾を縫い終えたところまでは覚えていて
――
『
……
ライア、その、これは
……
』
あいまいで途切れ途切れの夢の中、うろたえる彼女に会った気がした。その腕に抱きかかえられたことも、あったような。
夢だ。そう、夢なら、それならば、少しくらい甘えても許されると思ったのだ。『おやすみ』の挨拶をすることも、昔のように、一緒に眠ることも。
でもあれは、もしかして、今と同じように、夢では無く
――
するり。太もものあたりを彼女の尻尾が擦るのに、思考が遮られる。
「
……
っ」
思わず息を飲み、身を竦ませれば、それをきっかけとしてか
――
セファリアが身じろぐ。ゆるく開いた瞳に、落ち着きのないアグライアの顔が映り込む。
「
…………
」
「
――
、おはよう、ございます、
……
セファリア」
「んー
……
ライア
……
?」
律儀に送ってしまった挨拶に応えるように、舌っ足らずに名を呼んだセファリアは、ライアだぁ、と、嬉さを滲ませた声で反復すると。
ぎゅう、と、迷いなくアグライアへと体を寄せてくる
――
眠気は吹き飛ぶのに頭が働かない。温かい。首筋を撫でる髪の毛がくすぐったい。腰に巻き付く尻尾が力強く、んふ、と微かに漏らされる吐息が艶めいて、喉が勝手に震えてしまう。
「
――
せふぁ、りあ?あ、貴女
――
」
「
……
なに、変なこえ
……
。どーせ夢だし、いつものことでしょ〜が
……
」
むにゃむにゃ、後半は言葉の形から崩れるような声だった
――
少々待ってくださいいつもというのはどのような意味ですか。問い詰めようにも、明らかに彼女の呼吸音は二度寝に入ろうとしていて、それは
――
それはまずい。色々と。私も、セファリアも。これ以上は。
「ゆ」舌を噛みそうになって、言葉を切る。「
……
夢では、ありませんよ
……
」
声を振り絞り、そう告げれば、肩口に押し付けられた彼女の頭から、芯のない声が返ってくる。
「ん〜
……
、なに、いって
――
」
そこまで口にした直後、びくり、とセファリアの肩が跳ねる。
「
――
言っ、て
……
?」
途端、跳ね上げられた顔。呆然と見開かれた彼女の眼差しが、揺れるアグライアの瞳と絡み合う。
「
―――
おはようございます」
「
……………
、
………………
ぁ」
二度目の挨拶
――
彼女が何か言うよりも、動くよりも早く、アグライアは、ついその体を反射で抱き寄せてしまった。まだ自分にこれほどの行動を起こす感情が残っていたことに、他人事のように驚いてしまう。
「っ、ちょっ、裁縫女、何
……
!」
「す
……
すみません。
ですが、目が覚めた貴女はきっと、また何処かへと行ってしまうのでしょう」
「
―――
」
「
……
ごめんなさい、セファリア。私には、貴女を留める権利などないことは知っています。それでも
――
それでもどうか、一時、あなたと会話することを、許してはくれませんか
……
」
もがこうとしていた彼女の動きが、アグライアの言葉を聞くたび、徐々に止まっていく。そうして、互いに言葉を探すような、無言の時間が少し続いた。
先に口を開いたのは、セファリアの方だった。
「
……
ライア、ちょっと
……
腕、痛い」
「
……
ぁ、すみません
……
」
咎めるつぶやきに、慌てて腕を緩めて、
――
代わりというように、彼女の片腕でゆるく抱き寄せられて、全身が固まる。鼻先が触れ合いそうな距離、彼女のまだ覚めきっていない目が、アグライアを捉え
――
伏せられる。
「
―――
」
「
……
いーよ、話そう。
元々、そのつもりだったし」
「
……
そう
……
なのですか?」
「うん。
……
なんでもいいよ、聞いてくれて」
ほんの少し、緊張に震えた声。アグライアはこの降って湧いた機会に、何から尋ねようかと考えて。
――
けれど、伝えようと思っていたことは、ずっと前から決まっていた。
「セファリア」
「
………
」
「
――
おかえりなさい」
「
……
、はは、
……
ただいま、ライア」
精一杯の微笑みに、
……
瞳を潤ませ、くしゃりとセファリアが破顔する。
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