sousakuyamamusume
2025-09-08 21:16:49
1035文字
Public れいさんの二次創作
 

百年

九重さんとセラさんで夢十夜パロ

……もう死ぬわ。」
 静かな声で彼が言う。
 真っ白な頬には温かい血の色が差していて、唇の色も勿論赤い。とうてい死にそうには見えない。
 けれども彼は静かな声で、もう死ぬと言った。
 私も確かに死ぬと思った。
「そう、もう死んでしまうのね。」
「ああ、死ぬ。」
 のぞき込んだ彼の瞳の奥に、私の姿が映っている。
 これでも死んでしまうの?
「死ぬんじゃないの、大丈夫?」
「死ぬもんは死ぬ、しゃあないやろ。」
「じゃあ、私のことは見える?」
「見えるもなにもそこにおるやろ。」
 いつも通り笑う彼。
 本当に死んでしまうの?
「死んだら、埋めてや。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いてくれ。そうして墓の傍に待っていてや。また逢いに来るから。」
「どれぐらいになったら逢いに来る?」
「日ィ出るやろ、そして沈むやろ。そしてまたでて、沈む。赤い日が東から西へ、東から西へ……セラ、待っててくれるか?」
 黙って頷いた。
……百年待っててや。」
「百年、俺の墓の傍で座ってまっててや、絶対逢い来るから。」
 百年?
「ええ、待ってるわ。」
 彼の瞳の中に写っていた私の姿がぼうっと崩れて、流れ出した。
 彼の目が閉じた。
 ――もう死んでいた。