万丈
2025-09-03 14:07:55
5297文字
Public 小説
 

好敵手

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
インドラ×ミトラ【第1話】
もう完全に捏造オンリーな、神将候補生時代のインドラ様とミトラ様BL時空ですよ!
今までの話と矛盾してても気してはいけない。このシリーズしばらく続きます。

次の話→雨宿りと、触れたい衝動

第一章:初めての対等
神将候補生。
その中でも、私、ミトラは常に「特別」だった。

幼い頃から他の者とは一線を画す知略と、完璧に編み上げる幻術の才能。誰かと競うまでもなく、私は常に頂点にいた。他者は皆、私が見下ろす対象でしかなかった。
退屈だ、とずっと思っていた。このまま誰にも脅かされることなく、順当に十二羅帝の座に就くのだろうと。

――あの男、インドラが現れるまでは。

北の辺境カーンダヴァから来たというその少年は、いつも一人で、誰とも言葉を交わさず、ただ黙々と訓練に打ち込んでいた。その灰色の瞳は、何も映していないかのように虚ろで、最初は取るに足らない存在だとさえ思っていた。

模擬戦で初めて奴と対峙した時、私のその傲慢は、粉々に打ち砕かれた。
私の幻術は完璧なはずだった。幾重にも張り巡らせた幻の罠に、奴はことごとくかかった。勝利を確信した、その瞬間。
インドラの身体から、荒れ狂う奔流のような光流が放たれた。それは、術理や技巧を無視した、あまりに純粋で、圧倒的なまでの力の塊。私の編み上げた精緻な幻術は、その暴力的なまでの光の前に、赤子の手をひねるようにかき消された。

木剣が、私の喉元に突きつけられる。
汗だくのインドラが、初めて私を真っ直ぐに見据えていた。その灰色の瞳の奥に、確かな闘志の炎が揺らめいているのを、私は見た。

……私の、負けだ」

生まれて初めて口にする、敗北の言葉。
屈辱よりも先に感じたのは、歓喜だった。

目の前にいる。私と対等に、いや、それ以上に渡り合える存在が。
全身の血が沸騰するような、凄まじい高揚感。
この男に勝ちたい。この男を超えたい。
その日以来、私の世界の中心はインドラになった。

訓練では、彼の苛烈な一撃をどう捌くか、その思考をどう読むかだけを考えた。座学では、彼よりも一つでも多くの知識を頭に叩き込み、優位に立とうとした。
インドラもまた、私の幻術を破るためか、必死に食らいついてくる。私たちが訓練場で顔を合わせるたびに、周囲には火花が散るような緊張感が漂った。

他の候補生たちは、私たちのことを「犬猿の仲」と噂していた。それもまた、心地よかった。インドラが意識しているのは、この私だけなのだから。

異変に気づいたのは、それから数ヶ月が経った頃だった。
その日、インドラは訓練場で、実力を妬んだ他の候補生たちに囲まれていた。「組手稽古」と称して、明らかに多人数で彼を消耗させ、怪我を負わせようという魂胆が見え見えだった。

その光景を見た瞬間、私の頭に、カッと血が上った。
自分でも理解できないほどの、激しい怒り。

なぜだ? 奴が誰に負けようと、私には関係ないはずだ。むしろ、奴の実力が落ちれば、私が優位に立てる。
だというのに、私の身体は、気づけばインドラと候補生たちの間に割り込んでいた。

――そいつに触れるな」

自分でも驚くほど、冷たい声が出た。

「そいつを倒すのは、私だ」

候補生たちが怯んだ隙に、私は完璧な幻術を展開した。彼らは、自らが最も恐れる魔獣の幻影に囲まれ、悲鳴を上げて逃げ惑う。
静かになった訓練場で、私とインドラは二人きりになった。
彼の腕には、木剣での殴打による生々しい傷ができていた。

……余計なことを」

インドラはぶっきらぼうに言うが、その声にはいつもの刺々しさがない。

「黙れ。手当てをするぞ」

私は彼の腕を掴むと、その傷口にそっと手をかざした。
治療の光流は、私の得意分野ではない。幻術とは全く違う、繊細な光流の制御が求められる。

……っ」

インドラの身体がかすかに強張る。私の未熟な治療は、痛みを伴うのだ。それでも彼は、文句一つ言わずに耐えている。
柔らかな光が傷を包み込み、ゆっくりと傷口が再生していく。その間、私の指先は、ずっと彼の手に触れていた。

その肌に触れたとき、私は気づいてしまった。
インドラに負けたくない。
インドラを超えたい。
その激しい感情は、彼を誰にも渡したくないという、独占欲の裏返しだったのだと。

他の誰かに傷つけられるのも、他の誰かに負けるのも、我慢ならない。
こいつを打ち負かし、こいつの隣に立つことを許されるのは、この私だけでなければならないのだ。

(こいつは、私のものだ)

初めて抱く、暗く、甘い感情。
それが独占欲という名であることを、まだ私は知らなかった。ただ、この男が他の誰でもない私だけの「好敵手(ライバル)」でなければならないという、強烈な渇望だけがそこにあった。

その戸惑いを隠すように、私はインドラの手を、さらに強く握りしめた。
インドラは何も言わず、ただ黙って、その手を受け入れていた。
その日、私たちの間にあったただの敵対心は、僅かに熱を帯びた、もっと別の何かへと変わり始めていた。