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和泉 小夜
2019-12-04 11:29:50
7791文字
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20の扉
『かみさまのおはなし(
https://privatter.net/p/4875765
)』で「随分前に7200字で書き切っている」といった文章がコレだが、冒頭を書き足したが故に7500字を超えた文章が此方です。当時は北谷菜切が居なかったから此処には居ません。
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『貞ちゃん!』
「なん、で
……
?俺、あなたに、」
『僕の話も聞いて!』
そう云われ、軽々と抱えられた。
流石の莫迦力だ。
『ごめんね、僕、貞ちゃんがそう思っていたなんて、知らなくて』
「
……
知らなくていいよ。あなたは」
「本当は、あなたにだけは、知られたくなかったのだから」
『何で?』
「あなたに、嫌われたくないから」
「あんな、穢い感情を向けられて。嬉しいわけがないし、」
「あなたは、圧切と懇ろだということも俺は知っている」
「あなたが幸せなら、それで構わない」
「たとえ、情愛を向ける対象が俺でなくとも。俺は、あなたが幸せなら」
「
……
それで、いいんだよ」
『ねぇ、貞ちゃん』
「俺は、圧切が妬ましい、疎ましい」
「あなたと一番、仲が良いのは俺だった筈なのに」
「こんな簡単に、誰かに取られて奪われて終う程度の価値だったんだな」
「こんな簡単に、誰かに成り代わられる程度の立ち位置だったんだな」
「こんな簡単に、誰かに嘲笑されて終う程度の立場だったんだな」
「それが、たまらなく、つらい」
『
……
僕はね、ずっと貞ちゃんがこの本丸に来るのを待ってたんだ』
『来てくれた時、凄く嬉しかった』
『それに貞ちゃんは、長船が一気に増えた時、喜んでくれたじゃない?』
『みんなからは、また長船かと言われたけれど』
『貞ちゃんだけは、良かったなって、笑顔で言ってくれたよね』
『僕は、それが、凄く嬉しかったんだ』
『
……
お世辞だと分かってはいたよ。きみは長船が増えることを快く思わないのも知ってた』
『それでも。笑顔で、祝福の言葉をくれたのが、嬉しかったんだ』
嗚呼、本当に。此の刀は優しい。
全部、知っていて。それでも、俺の世辞に、喜んでくれたのか。
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