mishiadd
2025-08-05 00:34:47
2696文字
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汝の神は嫉妬深い神である:なまえをよんで

【FGO軸】ずっと「イオリ」って呼ばれてたのに突然手首掴まれて「伊織」って呼ばれて違和感に怯えた顔してほしさあるから「イオリ」と「伊織」の発音に違いがあることにしたい政党です 清き一票をよろしくお願いします【剣伊】
『汝の名は嫉妬深い神である』:https://privatter.me/page/6795e33594a05
『汝の神は嫉妬深い神である:カナリヤ』:https://privatter.me/page/67b0a31eac685


彼に『セイバー』と呼ばせているから、自分も彼を『イオリ』と呼んだ。

彼が『宮本伊織』という名であることは知っていた。漢字でどのように書くかも知っていた。それでも、あるいは彼が自分のことを『セイバー』と呼ぶのがくすぐったくて特別なことであるように――例えば自分が彼を『イオリ』と呼ぶのは、自分だけに許された愛称のようであったから、それはそれで気に入っていたのだ。

でも、心のどこかできっと自分は、いつの日か彼に自分の真名を呼んでもらえることを願っていた。
心のどこかできっと自分は、彼の本当の名前を呼ぶことを、特別視していた。――互いの名を呼ぶことは、互いを手に入れることなのだと、思っていた。

だから、一度だけ、たった一度だけ、こっそり――もしかしたら気付かれないかもしれないと思いながら、もし気付かれてしまったらどうしようと、ほんの少しの期待を抱きながら――

伊織

と、彼の本当の名を呼んでみたことがあった。

彼は、一瞬だけ片眉を跳ね上げたあと――まるで何事もなかったかのように、「どうした、セイバー」と答えた。



――それっきりだった。



あるいは自分が、その名に込めたほんの少しの、願いのようなまじないすらも――



彼には効かない――この男には、自分の神気こざいくなどは効かない。もとよりこの自分の圧倒的な霊基から放たれる威圧感すらも、端から存在しないもののように扱うマスターだった。
――それでこそ、この自分を従えるに相応しい、自分のたったひとりのマスターだった。



呪詛返しはねかえされた悪戯に、ただひとり、ひどく満足げな笑みを浮かべていた。






汝の神は嫉妬深い神である:なまえをよんで・了