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蜂宮
2025-08-04 04:40:27
4316文字
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探教学パロ
ノトルキの学パロが書きたァい!という気持ちで書き始めたけれど、普通に何故かルキノさんが講義していそうな科目の単語を調べたり流れを調べたりしていた時間の方が長くなってお蔵入りになりそう。
後2000文字くらい書いたら支部に流すかもしれないくらいに続き書くの気が重い。
1
2
窓の外で鳥が囀る音がして意識が浮上する。
ソファから体を起こしたノートンは背がパキパキと音を鳴らすのを聞いて、鈍い痛みに顔を顰める。
昨晩
…
と言うよりは寧ろ早朝に近い時間帯に寮へと帰ってきたノートンは、ベッドで寝てしまえば一限に間に合わないと確信しソファへと身を沈めていた。
その考えは正しく、今現在全身に残る気だるさと頭に走る鈍痛に朝から、なんとも憂鬱な気分になってしまった。
「
…
最悪。」
これが初回講義じゃなければ内申点も考えずに二度寝していた事だろう。
しかし、初回講義
…
それも薬毒物学なんていう過去一年で触れてこなかったような科目の授業ともなれば、相手教師からの第一印象も重要だ。
ノートンとしてはテストの点数もそうだが、教師からの内申点も貰えるものなら欲しい。
「
…
行くかぁ。」
自分から出たとは思えない程に掠れた声に、道中の自販機で水かお茶でも買っていこうと心に決めた。
「珍しいね、ノートンがギリギリに来るなんて。」
大学の講義室に入ると見知った顔が幾つかあった。その一辺に近付くと、こちらに気付いたらしく手を振りながら心底意外そうな声を出す友人。その言葉にため息と共に昨日の夜更かしの理由を話す。
いけると思ってはいたが、実際やってみると3時間だけの睡眠というのは結構堪えるものだった。
夜勤帯の仕事が原因だと理解したマイクが「また金の為に無理してる
…
」なんて呆れた声を上げる。それをひと睨みして黙らせると、席に着いて机に適当なノートとペンを置いた。
事前の連絡では何も要らないとの事だったが、それを真に受けて何も用意しないのはどうなのだろうかという疑問と、時間が余るようなら他の科目の予習でもしようと思ってのことだった。
「また予習?」
「俺はお前らと違って時間ないの。今日もこの後ちょっと寝たら4限に出てバイト。」
「体力お化けかよ。」
よくやるねと感心したような声を上げるマイクと、その隣で小さく顔を顰めて朝一からパンを食べているナワーブ。
後ろの方ではイライが何やらナワーブに話しかけていたが、今日だけは本当に周りの友人たちの喧しさが憎らしい。
せめてもう少し声量を落としてくれれば
…
と思うが、言葉に出さないそんな願いは彼らに届くことはなかった。
「今日も夜勤?」
「
…
いや、今週はもうない。21時には終わる。」
「じゃあさ、それからカラオケ行こ!」
「どうやらマイクがまた新しい曲をマスターしたらしい。」
「
…
寝かせて欲しいんだけど?」
とは言うものの、花の咲くような笑顔でこちらを見ているマイクやイライを見ると強く突っぱねることもできない。
しばらく自分の体力と明日の予定を考え、まぁ昼過ぎに起きれればなんとかなるもんなと思って頷いた。というか、頷いてしまった。
「
…
お前って口悪い癖に押しに弱いよな。」
自分でもそう思う。
時々スマホを弄りながら級友達と話していたノートンがふと講義開始時間になったホーム画面へと目を向けると同時に、講義室の扉が開き、教師と思しき人物が静かに入室する。
その音は決して大きくはなかったはずなのに、その存在感からか学生たちの私語は自然と止んでいき、微かな声を潜めた会話だけになった。
「静かに。」
ノートンは響いた教師の声に机から思わず視線を上げてしまう。
「あっ
…
」
そこに居たのは、昨晩唯一相手をした客の男だった。
院生か研究生か、なんて考えは全て的外れだったようで、慣れた手つきで男はチョークを手に取り壁の時計を一瞥する。
その後黒板には少々癖のある文字で科目名と彼の名前が記されていった。そのチョークが黒板を擦る音がやけに耳につく程に、教室内は静まり返っていた。
「本講義は薬毒物学総論である。担当は私、ルキノ・ドゥルギが執り行う。この科目は出席点は加味しない。」
抑揚の殆ど感じられない冷淡な声が、淡々と決められた文をなぞるように発せられていく。
その過程で、若そうにあの見えた青年がもしや教授職に就いている男と同一人物だとは思えず、あまりにも衝撃的過ぎて食い入るように見つめていた為か講義室全体を見渡していた青年と視線が絡み合ってしまった。
「
…
座っていようが立っていようが、君らが知識を得る姿勢を見せない限り私の授業は成立しないものと心得よ。
ここで学ぶのは、『毒』とは何か。そしてそれが生命に与える影響、人体の応答、そして解毒機構とその限界・応用。」
直ぐに逸らされると思っていた視線は常にこちらを向いたまま、青年は講義全体の流れを説明していく。
ノートンはといえば、ルキノの視線がまるで蛇のように感じられて一切の動きを封じられたかのように固まるしかなかった。昨晩の姿とは似ても似つかない冷ややかさは、まるで腹の底から冷たいものが這い上がってくるような感覚を覚えてしまう。
「講義は全15回を予定している。進行は配布した用紙に書いてある内容に準じて行う。
…
また、質問は講義終了後にのみ受け付ける。」
そこまで言い終えるとようやく、ルキノはノートンから視線を外した。
再び全体を見渡したルキノは何事かを考えるように逡巡すると、心底面倒そうな顔で口を開く。
「私は講義において感情で話すことは無い。ここで扱うのは、数値・症例・薬理・臨床、そして死に至る確率等だ。他の教師のような気安い冗談や情緒的な逃げ場は存在しない。
それを不服とするのなら、今退室してもらって構わない。」
まるで過去にその手のトラブルに巻き込まれたことがあるかのような辟易した声で言い切ると、その後退室する者がいないかじっと待つ。
やはり、ノートンにとって彼の一挙手一投足はまるで蛇のような印象を与えてきた。
身じろぐ音すら聞こえてきそうな教室から出ていく者はおらず、ただそれがルキノの得体の知れない雰囲気に呑まれただけであるというのはノートンからしてみれば痛いほどによく理解できてしまった。
なんとなく、彼の眼前で不用意な言動は許されないような気がしてしましうのだ。
「では──次回は、トリカブト属に含まれるアルカロイド、アコニチンの構造と作用機序から始める。研究の方が急ぎでね、本日は以上だ。該当の教科書のページをよく予習しておくこと。」
「
…
は?」
思わず小さく声を上げてしまうが、それに視線をくれることなくルキノは荷物をまとめて出て行った。
「癖の強ぇ教授だな。」
呆れとも感心とも取れるナワーブの声がノートンの耳に届いて、なんとか頷くのが精一杯だった。
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