ろころころ
2025-06-17 00:12:12
6054文字
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リグテレオンの事件簿 その1





ガラル地方は自然豊かで雨が多い地域だ。人々が住む街は場所場所で固まっており、その他の地域はポケモン達が暮らす大自然になっている。確か人間はこの区域を「ワイルドエリア」と呼んでいたか。

金の貸し借りに関わる反社勢力と言えば一番に思い浮かんだのは勿論メフィストであったが──────

「これ、恐らく違いますね。隠す気無いのかってレベルでボロが出てますよステラさんの前でキョドるルビーのようなボロの出具合です

リグ達は手紙に書かれた住所を訪ねた。出てきたのはエーフィの女性。彼女は写真だけではわからない娘の特徴や、誘拐当時の様子をこと細かく話した。まぁリグは話半分にしか聞いていなかったのだが。何せ、女性の顔を見ようとするとその背後の例のポスターも視界に入ってしまう。可愛い恋人の顔がここから出してくれと自分に訴えかけていた。

「ご安心を。私が必ずアリルさんを救い出してみせます」
「え?えっと娘の名前はノーアですけど
…………………はい」


母親の女性は娘が心配なのか、着いてくると言って聞かなかった。リグは余計なお荷物危険な目に遭ってしまう可能性も踏まえて丁寧にお断りしたのだが、隣のせいかく:ようきが「仲間は多い方が楽しいぞ!」等と余計なことを言い出したため、先ずは鳥をはっ倒してから女性を説得せねばならなかったのだ。この時点で、リグはとても疲れていた。

女性はトラックのナンバーを控えていた為、周辺の防犯カメラを確認し大体の行先を絞ることに成功した。

「ナンバーが丸見えの車で犯罪行為とか馬鹿以外の何物でもないですよ」
「ん?」
「?なんですか」

シャモがリグの方をじっと見詰める。いや、見ているのはリグの背後──────

「あ、あいつ!長い尾羽みてぇな髪の毛に赤い尻尾間違えねぇ!クレイジーサイコ不死鳥だ!」
「に、逃げろっ!壁のシミにされちまう!」

男達の声に続き、バタバタと聞こえる足音。どうやら男たちはシャモのことを恐れているようだ。こんな馬鹿を恐れるなんぞ情けないにも程がある。

そして男達は慌ただしくトラックに乗り込む。
そのナンバーを、リグは見逃さなかった。

「シャモ!彼奴らです!」
「おー?あいつらなのか!それはすごいな!」

アホ丸出しな返答を無視して、リグはとどめばりをトラックに向けて発射する。とどめばりを壁や障害物に向けて放つことで、針先がくっつき素早く移動することが出来る。これはユナイトバトルで学んだ技術の1つだった。

隣の鳥の腕を雑に引っ掴み、ワイヤーの戻る勢いでトラックに引き寄せられる。このままであればトラックの荷台に叩きつけられることになるが、強靭な腕力を持つバシャーモは引き寄せられる力よりも強い蹴りを荷台にお見舞いし、リグを俵担ぎしたまま軽々と降り立った。

「ひっ、ひぃ!?乗り込んできたぞ!」
「いいから早く降りろ!潰されちまう!!!」

急ブレーキを掛け逃げ出そうとする男達を、逃す訳にはいかない。何せこの任務には可愛い恋人を救い出すチャンスがかかっているのだから。

「シャモ」
「よーし!やっちゃうぞ〜☆」

シャモは荷台から逃げ出す男に直接飛びかかると、男1(付番)の顔面に蹴りを入れつつ男2の方へそのまま蹴り飛ばした。二人揃って壁に叩きつけられた犯人達に、シャモはきあいだまを一発飛ばすと、砂埃の中、ブレイズキックでとどめを刺そうと──────

「ちょっ、待ちなさい馬鹿鳥!彼らを殺したらイーブイの居場所が聞き出せないでしょう!」
「うーん、確かにそれもそうだな!なら、後でな!」

二人揃って壁際で震える男達に、リグは近づく。

「いいですか。別に私達は貴方達を殺しに来たわけじゃないんです。数日前に攫ったイーブイの少女彼女を返していただけますか?」
「わ、わかった!言う!言うから殺さないでくれ!!!」

必死に縋り付く男を、リグは頭の片隅でボロ雑巾みたいだなと思っていた。

「返していただけるのなら、私は貴方達の命を奪わないと約束しましょう」
「ほ、本当か!?本当に約束するんだな!?」
「ええはい、まぁそうですね。しましょう、約束」


こうして首根っこをシャモに掴ませた男達に、イーブイの居場所を案内させることに成功したのだった。


******************


……で、ここですか?」
「あ、ああ……そうだ」

着いたのはぼろ臭い風貌のバー。開店前なのか既に閉店しているのか、窓から見える店内は暗く人気が無い。

嘘つきの舌は引っこ抜くとよく言いますが」
「う、嘘じゃない!本当だ!中に入ればわかる!!!」
「仕方ないですねぇ」

シャモは両手が塞がっているので、錆びた扉をリグが押す。ギギギとあまり心地の良いとは言えないな音を立て、扉は開いた。

──────刹那、

「おめーたち!遅いのだ!!!」
「ひっ、ひぃ!?すみませんボス!!!」
「こいつらに捕まっちまったんです!どうかお許しを!!!」
「黙れなのだ!ピカ様を待たせようとは百万年早いのだ!」

室内から聞こえるのはキンキンと響く声。
どうやら男達のボスらしい。ここが彼らのアジトということであれば、確かにボスも攫われたイーブイもここにいるのだろう。

チッ、新手なら私がやりま─────は?今、ピカ様って言いました?」
「捕まったぁ?全くどいつもこいつも使えねーノロマばっかりなのだ!エレキボールでも食らえなのだーっ!」
「おお!俺のきあいだまよりも光り輝いてるぞ!まるできんのたまみたいだな!」
「えっちょっ、やめ──────」


ドカーン!!!

辺りに怒りの雷による爆音が響き渡った。