万丈
2025-06-16 00:36:38
3896文字
Public 小説
 

偽りの玉座、渇望の獣

【AI生成】【二次創作】【R18】【天空戦記シュラト】
インドラ様×アカラナータ(第一話)
殺伐カップリング、血の気の多いアカラナータに分からせH。本音が漏れるインドラ様の話。
コメ欄に後書きアリ。

第二話→その指は、絶望に触れる


インドラに禁じられていたはずの衝動が、アカラナータを天空殿の最奥へと導いた。
八部衆を討伐する前に、この有り余る力をどこかにぶつけなければならない。インドラが「入るな」と命じた大広間。そこにこそ、最高の破壊対象があるに違いない。

重い扉を蹴破るように開けると、そこは静寂に満たされた神聖な空間だった。そして、その中央に佇む一体の石像に、アカラナータは息を呑んだ。

冷たい石像と化した女神。苦悶の表情を浮かべたそれは、まるで今にも動き出しそうなほど精緻で、美しい。

――ヴィシュヌ。

デーヴァ神軍を率いていた調和神。インドラが自らの手で「始末した」と語っていた女。

……生きてやがる」

アカラナータの口から、低い声が漏れた。
石と化してはいるが、その奥に微かな生命の気配を感じる。殺したのではない。封印しただけだ。
あのインドラが、敵の将に情けをかけた。

「ハッ!くだらんな」

インドラへの不信と侮蔑が、破壊衝動に火をつけた。
生きていれば真っ先に殺すつもりだった女だ。石像だろうと関係ない。この美しい顔を、己の力で粉々に砕いてやる。
アカラナータの右手に、黒い光流が渦を巻いて収束していく。

「まずはそのすました顔から壊してやろう、ヴィシュヌ!」

黒の奔流が放たれようとした、その瞬間。
凄まじい速度で飛来した光流弾が、アカラナータの攻撃を弾き飛ばした。衝撃で体勢を崩したアカラナータが見上げると、そこには氷のように冷たい表情を浮かべたインドラが立っていた。

「何をしている」

「それはオレのセリフだ、インドラ。おまえ、ヴィシュヌを殺してなかったのか。何故だ、この女に未練でもあるのか?」

アカラナータは嘲るように笑う。

「アスラに身を置きながら、デーヴァの神に傅いていた腑抜けが。昔からそうだったな。オレ達が戦っている間も、おまえはずっと異動宮の奥でシヴァの『お世話』係だった。戦いもせず、ただ強いやつの傍にいるだけ。それがおまえのやり方か」

インドラの眉が、わずかに動いた。
アカラナータは挑発を続ける。その言葉は、インドラが万年もの間、蓋をしてきた古傷を抉る刃だった。

「シヴァにも、ヴィシュヌにも、媚を売って生きてきた。結局、おまえには自分の意志ってもんがねえんだ。哀れな人形だな。……そんなにおまえを狂わせる女なら、今ここで楽にしてやろう!」

再び、先ほどよりも強大な黒の光流がアカラナータの手に集う。インドラの制止を無視し、ヴィシュヌ像へと狙いを定めた。

その刹那、インドラの纏う空気が変わった。静かな怒りが、彼の全身から黒いオーラとなって立ち昇る。

――黙れ」

地を這うような低い声と同時に、インドラの姿が消えた。
アカラナータが放った光流は、ヴィシュヌ像の頬をわずかに掠め、背後の壁に巨大な穴を穿つ。インドラが、その身を挺して間に割り込んだのだ。

初めて見るインドラの剥き出しの激情に、アカラナータの瞳が好戦的な光を宿した。これだ。これが見たかった。

だが、喜びを感じる間もなかった。次の瞬間、喉に強烈な圧迫感が走り、視界がぐにゃりと歪む。インドラの鋼のような指が、アカラナータの首を掴み、床に叩きつけていた。

「ぐ……っ、ぁ……

呼吸ができない。骨が軋む音と、遠のいていく意識。
急所を的確に突く、一切の無駄がない一撃。これが、シヴァ直属の神将と呼ばれた男の力。
霞む視界の中で、インドラの顔が無表情に近づいてくる。その暗い瞳の奥には、憎悪でも殺意でもない、虚無と絶望が渦巻いていた。

「退屈凌ぎに、付き合ってやろう」